「悪い節税」がベンツの購入だとすれば、「普通の節税」とはどんなものを指すのでしょうか?
いわゆる「普通の節税」とは、一時的にお金は流出するが、将来的にはお金が返ってくる節税のことです。
「悪い節税」とは、お金が出っぱなしで終わるため、後々、資金繰りに苦労する可能性が大きくなります。
しかし、「普通の節税」では、一時的には大きな現金流出になりますが、それは戻ってくるため、結果的にはメリットがあるというわけです。
その代表的なものが「保険」です。
中でも、「逓増定期保険」という商品は、条件しだいで保険料のほとんどを損金算入できるという画期的な商品です。
この商品は、保険料の大半を損金算入できるため、利益を大幅にカットすることが可能です。
しかも、途中解約した場合でも、3~4年経過していれば、かなりの額の解約払戻金が返ってきます。
必要なときに取り崩せるため、資産形成の手段としても使えるという節税商品です。
至れり尽くせりの商品のように思えますが、やはり逓増定期保険にも、お金の流れから考えるとデメリットがあります。
それは、いくら将来戻ってくるとはいえ、一時的に大きな現金の出が生じるところです。
しかも、節税の効果を享受するためには、少なくとも3年間は同額の支払をする必要があります。
利益が出た年はいいかもしれませんが、それが3年続くかどうかは誰にも分かりません。
目先の節税をとるか、将来の資金繰りを考慮した上で安全策を選択するかは、経営者の姿勢に委ねられます。
それと、こうした商品が安全と言い切れないのは、突然法律が変わり、課税対象になってしまう可能性が極めて高いことです。
事実、この逓増定期保険も、昨年の春に国税庁のメスが入り、これまでの節税効果はほとんどない状態となっています。
今日現在の改正案では、保険期間満了時の年齢が70歳以下の場合、従来の全額損金と比べて半分しか節税できないことになっています。
10年くらい前にも、レバレッジ・リースという画期的な節税商品がありましたが、それも税制改正により、突然課税対象になりました。
これは決して珍しいことではなく、むしろ、節税商品の宿命であると言えます。
とにかく、節税する場合に最初に考えるべきことは、「資金繰り」です。
いくら利益が出たとしても、資金繰りがストップすれば、その時点で会社はジ・エンドです。
いくら黒字でも倒産してしまうのが、会社の恐いところなのです。
本日の道場訓
節税に保険を使う場合は、現金がフリーズされても
大丈夫かという観点で判断せよ
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