倒産原因の80%は資金繰りによるものです。
しかし、それは、最終的に資金不足に陥ったということに過ぎません。
統計によると、資金繰り悪化の最大の要因は、
「販売不振」です。
これが全体の6割を占めます。
あなたも売上げを伸ばすために、いろいろ頑張っていると思います。
けれど結果が出ない…。 それはなぜなのか?
私のところにも、毎日のように、「どうしたら売上げを上げることが出来るのか」といった相談者が来られます。
そうした経営者に共通して言えることが一つあります。
それは、モノを売るための「基本」を知らないということです。
あなたは、「マーケティング」という言葉を聞いたことがあると思います。
マーケティングの定義とは、「伝えたい価値を正しく伝える」ということです。
最近では、この「マーケティング」が、販売不振を打破するための鍵を握っていると考えられています。
その方法はいろいろありますが、
しかし、「基本となる考え方」は、それほどありません。
確かに、書店に行けば、「売上げを伸ばす方法」といった内容の本が所狭しと並んでいます。
あなたは、「こんなにあるのか」と感じるかもしれませんが、
実はこれらはすべて、いくつかの原則に基づいて応用されたものに過ぎないのです。
昔から、武道・伝統芸能の世界には、「守・破・離」という言葉があります。
「守」とは、指導者の教えを正確かつ忠実に守り、基本の型を身につける、「学びの段階」です。
「破」とは、指導者の教えを守るだけでなく、自分独自に工夫して、いろいろな方法を「試してみる段階」です。
「離」とは、自己の個性を創造し、新しい「独自の道を確立させる最終段階」のことをいいます。
しかし、最終段階である「離」の境地に達したからといって、それで終わりではありません。
もう一度、「守」に立ちかえり、これを永遠に繰り返すことによって、自己を発展させていく、終わりのない道です。
「型」というものは、昔から変わらないもののように思われがちですが、
実は、こうして少しずつ工夫が加わり、良いものだけが残されます。
受け継いだものを守り、環境に合わなくなったものを捨て去り、独自の工夫を加えることで、
今までの「型」を超えた、「独自の世界」を創り出しているのです。
これは、マーケティングの世界も、同様です。
変化の激しい現在において、常に改良が加えられています。
「昨日までの成功事例が、今日は通用しない」ことなど、日常茶飯事です。
こうした変化の時代において、最も重要なことは、「第一段階の”守”を、いかに確実に身につけるか」です。
これを身につけていない限り、その先には進めません。
基本の「型」を、自分のものにしているかどうかで、その後の全てが決まるのです。
けれども、最近の風潮は、いきなり「破」や「離」を求めようとします。
例えば、顧客の感情をコントロールしようとするマーケティングがあります。
小売店なら通用するかもしれませんが、1円2円のコスト削減に苦しむ、業材メーカーには使えません。
商品を使っている自分をイメージさせるマーケティングがあります。
車のメーカーや飲食店であれば通用するかもしれませんが、企業相手のビジネスには使えません。
MBAで採用される、戦略的なマーケティングがあります。
資金にも人材にも恵まれている大企業なら通用するかもしれませんが、起業したばかりの小さな会社には使えません。
つまり、全てに万能なマーケティングなどこの世にはないのです。
よくノウハウ本には、「こうやって成功した」という内容が書かれていますが、
それは、その人だからこそ、成功したのです。
会社の経営資源や社長の性格の違いによって、成功する方法は千差万別です。
本の通りにやったからといって、上手くいくことなど、ほとんどありません。
「ノウハウが公開される」ということは、それだけ「競争相手が増える」ということです。
そんな絞りカスのようなノウハウを真似したところで、たかが知れています。
ノウハウは自分で考え出すしかないのです。
自分の環境に合った独自の方法をあみ出すことが、売上げを上げる唯一の道です。
そのためには、マーケティングの基本を身につけなくてはなりません。
基本さえマスターすれば、
あとは感性次第で、アイデアが湧いてきます。
それが、誰もマネできない独自のノウハウとなるのです。
私のところには、いろいろな業種の方が、売上げ増強の相談に見えられます。
成功したケースでよくあるのは、
他業種では当たり前のように使われているビジネスモデルを、その会社の業種に応用するというものです。
ほとんどの経営者は、日々の仕事に追われ、他業種にまで目がいくことはありません。
しかし、他業種の「基本」の中には、起死回生の逆転のヒントが隠されています。
私も銀行員時代は、トップセールスマンでした。
それも、2位以下を倍以上引き離してのダントツのトップです。
朝から晩まで得意先に営業をかける同僚を尻目に、私は、昼食を食べてから、営業に出ました。
しかも、仕事を終えて、最初に店に帰ってくるのは、私でした。
「支店長よりも早く帰宅する男」として、全店でも有名でした。
なぜそんなことが可能だったのか?
それは、マーケティングの「基本」を身につけていたからです。
基本をもとに、自分にあった独自の方法をあみ出していたからです。
誰のマネをしたわけでもありません。
売上を上げるためのヒントは、すべて「基本」の中にあります。
これは、私のこれまでの経験から、断言できます。
この章では、売上げを伸ばすために必要な「定石」を、
「商品」「顧客」「営業」「広告宣伝」の4つに分けて解説します。
その中から、あなたの会社に欠けている、または必要だと思えるものを学習して下さい。
そして、あなたのビジネスに最も適したオリジナルのノウハウを、
あなた自身であみ出して下さい。
「定石」を知ることで、あなたの発想力は、爆発的に向上します。
その発想から生まれた独自のノウハウにより、あなたの会社が息を吹き返すことを願っています。
マーケティングの思考回路とは
ここでは、誰でも簡単に、マーケティング的発想が身に付くよう、トレーニングします。
世の中にあるさまざまな商品やサービスを、「マーケティング的に考える思考回路」を作り上げていきます。
この思考回路が身に付けば、あなたが、どんな商品やサービスを売っているとしても、
「自分のビジネスに最適な独自の仕掛け」を考えつくようになります。
マーケティング的思考には、大きく分けて2つの回路があります。
それは、「分析力」と「適応力」です。
「分析力」とは、「あなたのビジネスの、どこに問題があるのかを把握する」能力です。
「適応力」とは、「他業種の成功事例や失敗例の原理原則を、自分のビジネスに応用する」能力です。
「売上げを上げるためには、どんな武器があるのか」そして、「その武器を自分のビジネスに応用するには、どうすれば良いのか」
これさえ分かれば、あなたのビジネスは飛躍的に向上します。
そして、これらには、何ら特別な能力は必要ありません。
商売の「原理原則」と、「実際に成功している手法」を組み合わせるだけで良いのです。
基本その1 マーケティングのこころ
● マーケティングとは、「相手の気持ちを知る」こと
冒頭で、マーケティングの定義は、「伝えたい価値を正しく伝える」ことだと述べました。
この定義は決して間違ってはいないのですが、受け取り方によっては、「商品の良さを相手に伝える」という意味にとらえてしまうかもしれません。
そう考えてしまうと、「なぜ、こんな良い商品が売れないのだ」という袋小路に入ってしまいます。
ここで、結論を先に言ってしまいます。
良い商品を作るためには、「商品」のことを考えてはダメです。
どんなビジネスであれ、何かを提供したい「あなた」がいて、それを受け取る「お客さん」がいます。
この両者の間を結ぶのが、「商品・サービス」です。
なぜ、商品を良いものにするには、商品のことを考えてはいけないのかを、下の図を元に説明します。
これは商売の大原則ですので、よく頭に入れておいてください。
ビジネスの基本は、「お客さんが満足するものを提供する」ということです。
いくらあなたが、商品に絶対の自信を持っていたとしても、
お客さんに伝わらなければ意味がありません。
あなたが、どんな苦労の末に、その商品を作り出したとしても、お客さんにとっては、どうでもいいことなのです。
「売れるか売れないか」「喜んでもらえるかどうか」は、「お客様」の気持ち次第です。
「商品が売れる」ということを、第一に考えるのであれば、まずは「あなた自身」のことを考えなくてはなりません。
あなたの特性や性格、得意分野などです。
それと同時に、絶対に知っておかなくてはならないのが、「お客様」のことです。
お客様と、あなた自身の関係次第で、「商品」などいくらでも変化していくのです。
これは、「商品などないがしろにしろ」といっているのではありません。
優先順位の問題です。
良い商品をつくるためには、「商品のことからスタートしてはいけない」ということです。
「商品」からスタートしてしまうと、結果として、お客様にとっては「良い商品」にはなりません。
ほとんどの起業家は、自分の商品やサービスに自信を持っています。
もちろん、そうでなければ起業など考えないでしょうから、当然のことといえます。
おそらく、その商品知識に関しては、誰にも負けないと自負しているはずです。
しかし、その考え方は、一人よがりの錯覚に過ぎません。
どんな技術を使い、どんな工程で、どのような特徴がある商品なのか。
どんな利便性があり、お客さんにいかに喜んでもらえるサービスなのか。
あなたにこうしたことをしゃべらせたら、2~3時間では語り尽くせないでしょう。
けれど、お客さんにとっては、そんな供給側の勝手な論理など、どうでもいいことなのです。
あなたが一番知らなくてはならないことは、
「あなたの商品・サービスが、世間にどう受け止められているのか」ということです。
「なぜ、お客さんは、あなたの商品を選んだのか?」
「選ばなかった人は、最初からあなたの商品を知らなかったのか?」
「知っていたのに、選ばなかったのか?それなら、なぜ選ばなかったのか?」
「選んだ今も満足しているのか?実は、失望していないか?」
このように、お客さんについて知っておかなくてはならないことが山ほどあります。
そして、それを知ることによって、商品・サービスを刻々と変化させていくのです。
起業家が陥りやすい間違いが、ここにあります。
我が子ともいえる、自分の商品に対する思い入れが激しいあまり、
自分の論理を、お客さんに当てはめようとするのです。
これの怖いところは、「自分では、そう考えているという意識が無い」ということです。
お客さんのニーズに合った、完璧な商品だと信じきっていることです。
マーケティングとは、つきつめれば、「相手の気持ちを知る」ということです。
それ以上でも、それ以下でもありません。
● 「言葉」の大切さを知れ
起業家によくあるカン違いに、「マーケティングとは市場調査だ」というものがあります。
新商品を世に出す場合、いったいいくら売れるのか、顧客にアピールできるのかどうか、全く見当がつきません。
そのため起業家は、市場調査を行うことで、顧客の動向やシェアを数字で把握しようとします。
そして、その数字を検討しながら、仮説を立てていきます。
しかし、その作業は、あくまで、「昨日までの人の行動」を、「数字」で知ることに過ぎません。
大切なのは、「明日からの人の気持ち」を、「言葉」で知ることです。
「市場のシェアは○%だからこうしよう」という、数字から導き出した結論からでは、
本当にお客さんが満足する良い商品など出来ません。
自分の立てた仮説を確かめるには、あくまで、「言葉」にこだわらなくてはいけません。
そのためには、とにかく、「人の気持ち」をたくさん集めることです。
「聞いて、聞いて、聞きまくる」ということです。
ここをカン違いしていたら、いつまでたってもあなたの商品は、日の目を見ることはありません。
例えば、あなたの会社で販売している、和菓子があったとします。
1箱2,000円で、昨年の売上は3,000万円。
市場調査で、3,000人のお客さんが、1年で平均5箱買っていたことが分かったとします。
売上高 3,000万円 = 2,000円 × 3,000人 × 5箱
この式が、市場調査で分かった、あなたの会社の実態データです。
この数字をもとに、「どうやって売上を伸ばすか」を検討します。
それぞれの数字を変えることで、様々な戦略を立てることができます。
ここでとった戦略が、「商品改良により、1箱1,800円の和菓子を売り出す」ものだとします。
単価を下げることで、顧客数を3,500人、リピートによる年間購買数を6箱に見込むと、売上高は3,780万円になります。
こうした仮説のもとに、新商品を発売します。
しかし、予想に反し、同じ数だけしか売れません。
そのため、新商品の開発費と、値下げ分が赤字になってしまいました。
これは、大企業でもよくある事例です。
資金の潤沢な大企業であれば、単なる失敗で済むかもしれませんが、起業家はそういうわけには行きません。
一気に資金繰りが悪化し、最悪の場合は、倒産もありえます。
市場調査の結果というのは、あくまでも、お客さんの過去の行動実績に過ぎないのです。
その数字をいじってみたところで、それは予測にしか過ぎません。
予測を確かめるには、実際に人に聞くしかないのです。
もちろん、大企業もその程度のことはやっています。
調査会社に依頼して、それぞれの項目でお客さんの声を、「数字」でデータ化しています。
しかし、新しい商品であればあるほど、そのデータは当てにはなりません。
なぜなら、お客さんにしてみても、見たことも味わったこともない商品など、判断のしようが無いからです。
「1,800円になれば買いますか?」「味が変わればどうですか?」と聞いてみたところで、
帰ってくる「言葉」は、「一定の解答欄に印を付ける」程度です。
これでは、「本当に正直に答えたのか」「他に望んでいることがあるのではないか」という、
微妙なニュアンスまでは、あなたに伝わりません。
それでは、せっかくの市場調査が、実態とかけ離れたものになってしまいます。
だから、あなた自身が、「聞いて聞いて、聞きまくること」が大切なのです。
もちろん、「ただ闇雲に聞けば良い」というものではありません。
ヒアリングにも、技術があります。
顧客の「本当の気持ち」を知るためには、独特のノウハウがあります。
それについては、会員用ページで詳しく解説しますが、
マーケティングの基本は、「人の気持ちをいかにして知るか」にあるということを忘れないでください。
基本その2 売上向上のメカニズム
● まずは売上を伸ばせ
会社の「利益」を上げる方法は、たくさんあります。
営業力を強化したり、広告宣伝をかけたり、仕入・流通部門のムダを押さえたり、固定費を圧縮したりです。
どれも、会社の成長には欠かせない要素であり、戦略です。
しかし、これらの戦略は、すべて「売上げ」があってのことです。
企業は、商品やサービスを販売して、お客さんからお金をいただき、そのお金で経済活動を行います。
モノが売れなければ、その後の戦略など、立てられません。
「売上げ」とは、会社の成長に必要な、すべての戦略の大前提となるものなのです。
特に起業家であれば、まずは「売上」が立たなければ、話になりません。
資本金が底をついて、それでも会社の運営費や生活費を工面するには、借金に頼るしかありません。
それで会社が立ち直れば良いのですが、後ろ向きの資金調達では、うまくいくはずもありません。
売上もロクに無いまま、廃業することになります。
後に残るのは、借金だけです。
● 売上げを伸ばす方法は5つしかない
これまでの話で、起業当初の会社の生命線は、「売上」だということがお分かりいただけたと思います。
会社を伸ばすには、まず「売上」にフォーカスしなければなりません。
書店に行くと、「売上を伸ばす方法」といった本が、所狭しと並んでいます。
「こんなにあるのか」とビックリすると同時に、「どれを読めば良いのか」と悩まれると思います。
しかし、ご安心下さい。
確かに、売上げを伸ばすノウハウは星の数ほどありますが、
実は、それらすべてのノウハウは、5つの原則に集約されます。
つまり、売上げを伸ばす方法は、5つしかないのです。
数え切れないほどのノウハウも、すべて、この5つの原則に基づいて形成されています。
ですから、まずは、この原則を知ってください。
そして、あなたの会社に欠けている部分を、再検討してみてください。
それが、最も効率良く、あなたの会社の売上げを伸ばすことになるはずです。
● 売上げを伸ばすための5原則
売上げを伸ばすための5原則を説明する前に、大前提、知っておいてもらいたいことがあります。
それが、「売上げの公式」です。 売上げは下の公式で表わされます
これが、全ての「売上」の基本となります。
例えば、平均客単価が1万円で、1日の客数が50人だとします。
営業日数が300日なら、年間の売上高は、1億5千万円になります。
売上高(1億5千万円) = 客数(50人)×客単価(1万円)×営業日数(300日)
業種により、売上高の計算方法は様々ですが、基本は、この公式の応用になります。
・飲食店の場合
売上高 = 座数 × 回転率 × 平均飲食単価
・ホテル・旅館の場合
売上高 = 部屋数 × 稼働率 × 平均宿泊料金
いずれにせよ、売上げを伸ばすには、「客数」と「客単価」を増やすしかありません。
この客数と客単価について、細かく考えていくと、5つの原則が導き出されます。
それぞれの原則における応用例や、成功事例は、会員用ページに譲りますが、
ここではまず、5つの「原理原則」を知ってください。
まず「客数」ですが、これを増やすには、3つの原則があります。
原則1 新規顧客を獲得する
これは、すべての原則にいえることですが、
まず大切なことは、あなたがやろうとしている方策が、
「5つの原則のうち、どれに効果があるものなのか」を考えてから、実行に移すということです。
どんなに素晴らしい理論やアイデアであっても、
5つの原則に繋がっていない限り、絶対に売上は伸びません。
それと同時に、これらの原則を常に意識することで、
あなたのマーケティングの思考回路が飛躍的に向上します。
売上が落ちてくると、ついつい手っ取り早いノウハウに目が向いてしまいます。
ひとつのことしか小さなことしか考えられなくなり、全体的な広い視野がなくなっていきます。
これが、将来、過ちの原因になることが多々あるのです。
ですから、常に、「自分のやっていることは、どの原則に、どんな影響を与えるものなのか」を意識して下さい。
そうした姿勢でいることが、独自のノウハウを生み出す土壌作りとなりますし、
あなたを、経営者として成長させることにもなるのです。
それともう一つ、すべての原則に共通していることがあります。
それは、「どの原則部分が欠けているのかを知る」ことです。
売上が下がっているということは、どこかの原則に問題があるということです。
当然、1つだけとは限りません。
しかし、その部分が分からなければ、対処のしようがありません。
どこに問題があるのかを知る方法も、同時に述べておきますので、
あなたのビジネスに照らし合わせ、自分なりに検討してみてください。
新規顧客の獲得において最も重要なことは、「ターゲットを明確にする」ということです。
つまり、「誰に買ってもらうのか?」ということです。
これを考える上で検討しなくてはならないのが、「あなたの会社の強み」です。(これをベネフィットといいます)
あなたがターゲットにしたい顧客の「ニーズ」と、あなたの会社の「ベネフィット」が合っていなければ、
顧客を獲得することは出来ませんし、出来たとしても、結局は去っていくことになります。
これは、口で言うのは簡単ですが、実際にできているかというと、残念ながら、できていないと言わざるを得ません。
ベネフィットの中でも、最も重要だといわれるものが、「機能的ベネフィット」です。
この言葉は、重要であるにもかかわらず、ほとんどの人がカン違いしています。
自分の商品を売り込む場合、供給側は、ついつい「機能面の利便性」を説明します。
例えば、ICレコーダーを売るのであれば、
何時間録音できるかだとか、音声がキレイに再生出来るだとか、落としても壊れないだとかといった、
商品の「性能の高さ」をアピールします。
しかし、お客さんのニーズは、そこにはありません。
お客さんが欲しいのは、「録音によって可能になる、何かイイコト」です。
例えば、いつもアイデアを考えている人であれば、「携帯できて、メモ帳代わりに使える手軽さ」です。
夫婦共働きの家庭であれば、いつもは紙に書いておくだけの味気ない子供とのやり取りだったものが、
「家族のコミュニケーション」用の、メッセージ伝達用品として使えます。
つまり、「商品ありき」で考えてはいけないということです。
お客さんが欲しいものは、「機能」そのものではなく、その機能を使うことによる「結果」なのです。
その「結果」にフォーカスしなければ、あなたの「ベネフィット」とお客さんの「ニーズ」が合致することはありません。
もう一つの注意点は、「不要な顧客を排除する」ことです。
起業家は、これがなかなか出来ません。
売上げ欲しさから、ターゲット以外の顧客にも手を広げがちですし、
一度獲得した顧客がさほど利益を上げていないとわかっていても、なかなか切り捨てることが出来ません。
少しでも売上げがあったほうが良いという気持ちは分かるのですが、
そうした行為が、「本来のターゲット客を逃すことになる」ということを知らないのです。
それと同時に、「社内の限られた資源の無駄遣い」にもなります。
ターゲット以外の顧客に時間を取られていると、狙っている顧客への対応が手薄になるのです。
この考え方は、いろいろな方面に応用できます。
例えば、あなたが内装業社だとして、チラシを撒くことにしたとします。
出来るだけ多くの人にアピールしたいと思い、「内装なら何でもおまかせ!」というキャッチコピーを作りました。
かたや同時期に、「勉強部屋の内装の専門家!」というチラシを撒いた業者がいたとします。
どちらの方が、反響があると思いますか?
あなたもご推測の通り、絶対的に、後者のほうです。
お客さんは、数ある内装業者の中で、最も自分に適している業者を選択します。
それなのに、「何でも出来ます」とうたったのでは、焦点がボケてしまい、
結局、「何もできない」業者だと判断されるのです。
つまり、自分の商品を強調するためには、「他を捨てなくてはならない」ということです。
この「捨てる」という考え方は、マーケティングだけでなく、会社の経営判断においても、非常に重要な考え方です。
会社としてステップアップするためには、「捨てる」ことが大前提です。
もちろん、勇気も覚悟もいることですが、「捨てる」ことが出来ない限り、成長はありません。
いずれどこかでお話しすることになると思いますが、大切なことなので、覚えておいて下さい。
最後に、新規顧客の獲得が上手くいっていないことを知る兆候を、何点か挙げてみます。
どれもすぐに確認できることですので、常にチェックを怠らないで下さい。
・常連客やリピーターだけに、売上げが依存している
・顧客層が、自社の商品やサービスを必要としない層に移行している
・商品・サービスに対する問い合わせが少ない
・同じ業態の競合相手が参入してきた
原則2 顧客をリピーターにする
客数を上げるには、「新規顧客を獲得する」だけが方法ではありません。
お客さんに、何度も商品を買ってもらえば良いのです。
「客数」そのものは増えませんが、「のべ客数が増加する」というわけです。
リピーターを増やすことは、新規のお客さんを獲得することに比べれば、それほど難しいものではありません。
なぜなら、既存のお客さんは、あなたの商品やサービスに対する信頼感があるからです。
新規で購入する場合に比べれば、ずっと心理的抵抗感は低いといえます。
マーケティングの世界では、
「新規顧客の獲得には、既存客を引き付けておくのと比べ、6倍のコストがかかる」と言われています。
設立当初は、新規顧客の獲得からスタートしますので、ついつい既存客のことを忘れてしまいがちになります。
しかし、限られた経営資源の中で最大の効果を生むためには、「既存客をリピーターにする」ことが必要です。
その方法については、原則3のところで、あわせて説明します。
ここでの注意点を一つだけ述べておきます。
それは、「あなたが思っているほど、お客様は、商品の使い方を知らない」ということです。
分かりやすく言うと、「供給側からの提案が無ければ、あなたの商品の本当の良さを理解できない」ということです。
裏を返せば、「このように使えば、こんなイイコトがある」ということを、お客さんに伝えれば、購買を促進できるということです。
つまり、「用途を提案する」ことで、お客さんの需要を、「あなたが創造してあげる」ということです。
この際注意することは、「使い方」の提案だけにとどまらず、
使ったときの「気持ちよさ」「優越感」といった、「感情」に訴えるということです。
お客さんがモノを購入する時は、理屈や機能性ではありません。
ほとんどが、「感情」です。
「使ったときの状態をイメージできる」ようなアピールを考えてください。
リピート客が増えていないかどうかの判断は、数字で行います。
そのためには、「顧客別の年間購買回数」を、何らかの方法で数値化することが必要です。
また、「1年目の全顧客の購買回数」も、把握する必要があります。
原則3 顧客の流出を防ぐ
売上を伸ばすには、これまで述べたように、「客数を増やす」ことも大切ですが、
それ以上に、「いかに顧客を逃がさないか」も重要なポイントになります。
せっかく高いコストをかけて新規顧客を獲得したとしても、同じ数の顧客が流出したのでは、コスト分だけ赤字になってしまいます。
原則2と同様、顧客の流出を防ぐコストは、新規顧客の獲得のコストに比べれば、6分の1で済みます。
小さな努力で大きな成果があるのですから、これをやらない手はありません。
どんな会社でも、遅かれ早かれ、顧客は流出します。
業種により違いはありますが、平均で、1年間に2~3割の顧客が入れ替わります。
3年経てば、半分以上の顧客が入れ替わる計算です。
入れ替わるということは、その分だけ、顧客が逃げているということです。
もし、この流出がなければ、お客さんは、新規獲得分だけ永遠に増え続けるということです。
売上げを増やしたいと思うなら、少しでも長く顧客を引き止めておく必要があります。
「顧客を引き止める」ということは、それだけ「購買するチャンスが増える」ということです。
売上を伸ばすためにまず必要なことは、「顧客の流出を防ぐ」ことです。
起業家にとっては、これが一番重要であり、かつ効率的です。
なぜなら、顧客の流出を防ぐことは、「新規顧客獲得ほどコストがかからない」という点。
それともう一点、これが重要なのですが、
顧客の流出を防ぐことで、「自社の商品やサービスのベネフィットに気付かされる」と同時に、「顧客のニーズを正確に把握できる」ということです。
これが、「新規顧客獲得の材料」になります。
俗に言う、「クレームにビジネスチャンスあり」ということです。
「顧客が流出する」ということは、「バケツの底に穴が開いている」ということです。
いくら、新規顧客という水を入れたとしても、穴が開いていたのでは、話になりません。
事業を成功させるには、まずバケツの穴を防ぐことが大切です。
既存客にアプローチしないで、新規顧客の獲得だけに力を入れたとしても、時間と資金のムダが大きくなるだけです。
では、どうやって、既存客にアプローチすれば良いのか?
具体的な成功事例については、会員用ページで紹介するとして、ここでは、その代表的な方法を2つ紹介します。
①「フロント・エンド」と「バック・エンド」
「フロント・エンド」は、「顧客が最初に買う商品」のことです。
「バック・エンド」は、「フロント・エンドに関連した内容で、顧客の気持ちを誘導することにより、販売する商品」のことです。
例えば、あるお客さんが、革製のキーホルダーを買ったとします。
この場合、キーホルダーが、「フロント・エンド」になります。
では、「バック・エンド」とは何か?
それは、別のキーホルダーだけなく、それに関連する革製品、バック、靴、革要接着剤、オイルといった幅広い商品が、バック・エンドとなります。
また、「商品」だけにとどまらず、ブランドの革製品のお直しといった、「サービス」にまで広げることが出来ます。
つまり、「まず、フロント・エンドで顧客を引き付けて、そこから、それ以外のモノを提供する」ことで、「連続的に利益を上げる」と同時に、「顧客のロイヤリティを高める」という手法です。
ほとんどの起業家は、フロント・エンドにばかり、焦点を当ててしまいます。
バック・エンドのことを忘れています。
大切なことは、フロント・エンドを売る段階で、意図的に、「バック・エンドの商品を匂わせておく」ことです。
そして、最初から、この2つに力を注げば、
「売上と利益を大きくできる」だけでなく、「顧客を引き付ける魅力を提供する」ことが可能になります。
また、バック・エンドで新商品を開発する場合でも、フロント・エンドの関連商品を開発するのですから、
新たな市場の商品を開発して、単独で売るよりも、はるかに手間もかからず、コストも抑えることができます。
その分、「リスクも少なく、利益も大きくなる」という、相乗効果もあります。
②コミュニティーをつくる
マーケティングの世界では、「交流マーケティング」と呼ばれる手法ですが、
これは、「あなたの商品を通じて、仲間が集う場を提供する」ということです。
あなたが、「顧客同士が集まって、話ができる場」を提供することで、ユーザー間の交流が生まれます。
パーティやコンテスト、表彰といったイベントだけでなく、
会員証やバッジを発行することで、人の持つ「所属欲求」や「優越感」を満たしてあげるのです。
こうしたコミュニティーを組織するのは、確かに手間がかかりますが、
それだけに、一度軌道に乗ると、多大なメリットが生まれます。
まずは、顧客の、あなたに対する「忠誠心」が高まります。
あなたの商品をキッカケに、新しい友人を得ることが出来たわけですし、
共通の趣味や価値観を持った仲間ですから、その関係は長く続きます。
人というものは、商品を通じて友人を得ると、「その商品自体にも、愛着を感じる」ものなのです。
また、「顧客を囲い込める」というメリットもあります。
コミュニティーに参加している限りは、あなたの商品のファンなわけですから、浮気することは考えられません。
仲間同士の関係が続く限り、あなたの商品を買い続けることになります。
最大のメリットは、「顧客のマーケットリサーチが無料でできる」ということです。
あなたがコミュニティーに参加することで、顧客の生の意見や要望を、直接聞くことが出来ます。
それにより、市場調査よりも詳しい、微妙なニュアンスや意見を含んだ、生の声を感じ取ることが出来ます。
数字からだけでは分からない、「言葉」のマーケティングが可能になります。
これは、新商品の開発や、新たなビジネスチャンスのヒントとなりますので、お金には返られない最大のメリットです。
「顧客が流出しているかどうか」を知る方法としては、次の通りです。
・前回購入時から間が開いている顧客のチェック
・契約解除者数の確認
ここでは、売上げを構成するもう一つの要素である、「客単価」について説明します。
客単価は、次の公式で求められます。
例えば、1本5,000円のネクタイを、2本買った場合の客単価は、
5,000円 × 2本 = 10,000円 になります。
この公式から分かるように、「客単価」を上げるには、「商品単価」を上げるか、「売上点数」を増やすしかありません。
つまり、「もっと高いモノを買ってもらう」か、
「もっとたくさん買ってもらう」しかないということです。
原則4 価格を上げる
あなたは、「今の世の中で、値上げなどしても、売れるわけがない」と思われるかもしれません。
確かに、同じ商品をそのまま値上げしたとしても、売れるはずがありません。
ここでのポイントは、商品の持つ「付加価値」です。
「あなたの商品が、顧客に与える付加価値とは何なのか」を考えることが、商品単価を上げるヒントになります。
「付加価値」の特徴は、「目に見えない」ということです。
目に見えないということは、「数字では測れない」ということです。
ここに、あなたのビジネスチャンスが隠されています。
数字で測れるもの、つまり「機能的要素」で勝負するのなら、資金や人材が豊富な大企業に勝てるはずがありません。
たとえ、機能面で優れていたとしても、マネされたらお終いです。
あなたは、なぜ、みんなベンツに乗りたがると思いますか?
車を、「移動用の商品」だと考えるのであれば、1千万円も支払って、ベンツに乗る必要はないと思いませんか。
200万円程度の国産車で十分です。
この800万円の「付加価値」は何なのでしょうか。
もちろん、「乗り心地が良い」「長距離走っても疲れない」「安全性に優れている」といった、「機能面」での価値は高いと思います。
しかし、それ以上に、ベンツの価値は、「優越感」にあるのではないでしょうか。
「ベンツは高級車。だから、それに乗っている私も、高級な人間だ」
「みんな、ベンツに乗っている私をうらやましがる。私は特別な人間だ」
「街を颯爽と走るベンツ。そんなカッコイイ車に乗っている、私もカッコイイ」
ベンツという商品の持つ「権威」や、人から受ける「特別扱い」に、優越感を感じるのです。
その「優越感」が、ベンツの「付加価値」です。
お客さんは、この付加価値に、800万円もの余分な大金を支払うのです。
もちろん、高品質であることが最低条件ですが、人がモノを購入する理由は、機能的な価値があるからというだけではありません。
むしろ、それ以外の、「楽しさ」「優越感」といった、
「感情」の部分が大きなウエイトを占めるのです。
これは、「感情マーケティング」と呼ばれる手法ですが、
商品の「付加価値」を顧客に伝える場合によく用いられます。
具体的なやり方については会員用ページで紹介しますが、
ここでは、「お客さんの感情にヒットすれば、少しくらい値段が高くてもモノは売れる」ということを覚えておいて下さい。
大切なことは、「お客さんにとっての価値とは何なのか」を知るということです。
それを知り、あなたの商品のベネフィットを、お客さんの感情に訴えさえ出来れば、高価格であってもモノは売れます。
「価値を知る」ということに関連してですが、私がよく社員やクライアントに注意するのは、「お客さんが欲しがるものは、売るな」ということです。
「え!?ナニ、それ?」と思われたかもしれませんが、これは非常に大切なことです。
お客さんは、あなたが思っているほど、自分の欲しいものを、本当はよく分かっていません。
まずは、「お客さんの本当の欲求を知る」ことから、始める必要があります。
私のところへはよく、「会社を作りたいのですが・・」という相談者の方がいらっしゃいます。
普通の人であれば、法人設立にはどんな手続きがあり、料金はいくらで、何日くらいかかるかということを説明すると思います。
私の場合は、そうした手続き上の話は、聞かれない限り一切しません。
なぜ会社を作りたいのか、自己資金はいくらあるのか、そのお金をどういう形で所有しているのか、
当初の売上げ予想は、固定費はいくらを考えているのか、会社の所在地はどこにするつもりか、
何を売るのか、誰に売るのか、家族は、メンバーは、借り入れ状況はと、
必要と思われる質問を、これでもかというくらい聞きまくります。
なぜなら、こうした質問は、「相談者のその後の経営に、大きな影響を与える要素」だからです。
相談者の本当の欲求は、「会社を設立したい」のではなく、「会社を作って成功したい」ということのはずです。
そうであるなら、そのための最良の方法を提示することが、プロとしての仕事です。
「相談して良かった」と満足してもらえることこそが、その後の関係を良好なものとします。
そのためには、お客さんの欲しがっているものをバカ正直に売るだけではダメなのです。
最初に、深くヒアリングすることにより、相手の本当の欲求を理解し、
「その欲求に、ピッタリの商品を提案する」ことこそが大切なのです。
原則5 売上げ点数を増やす
「売上点数を増やす」には、同じ商品を何点も買ってもらうだけでなく、それに関連するものを買ってもらってもかまいません。
お客さんが、あなたの商品を使うということは、必ず「一緒に使われるもの」が存在します。
それをあなたが売ることが出来れば、売上点数を増加させることが出来ます。
ここでのポイントは、「顧客のニーズを知る」という供給側の視点ではなく、
「顧客の立場で考える」という、「相手からの視点で発想する」ということです。
これは、口で言うのは簡単ですが、実際に出来るかというと、非常に難しいものです。
気がつけば、「お客さんのニーズは何だろう?」と、「売り手サイドの思考回路」になっています。
しかし、モノを売りたいと思うのなら、絶対にお客さんになりきらなくてはなりません。
どうしても出来ないのなら、とにかく「お客さんの話を聞きまくる」ことです。
もしくは、自分で「自分の商品を実際に使ってみる」ことです。
あなただけでなく、社員や友人に頼むと良いでしょう。
必ずそこに、売上げ点数を増やすヒントが隠されています。
先ほどの原則4にも関連しますが、ここでは、「客単価を上げる」ための代表的な手法を2つ紹介します。
① クロスセル
マクドナルドに行くと、「ご一緒にポテトはいかがですか?」と必ず聞かれると思います。
なぜ、必ずあのセリフを言うかといえば、お客さんの3人に1人は、イエスと答えることが分かっているからです。
このたった一言が、月に何億円もの利益をマクドナルドにもたらすのです。
このように、顧客に関連商品を買ってもらうことで、売上点数と客単価を増やす手法を、
マーケティング用語で、「クロスセル」といいます。
顧客がモノを買うのは、満たしたい欲求があるからです。
しかし、人は、一度に何点ものモノを買ったり、ついでに別の買い物をしたりします。
これは、人というものは、「一つの欲求が満たされることで、別の欲求が湧いてくる」という特性を持っているからです。
自分では、目的の商品を買いに来たつもりでも、実は、「一つの流れの中で、商品を買っている」のです。
顧客の購買行動は、その気になって観察していると、その流れが分かるようになります。
このことに気付けば、顧客がつい、ついでに買いたくなるような商品を揃えることで、客単価を上げることが出来ます。
この方法の良いところは、「実行するのに、大きな投資を必要としない」ということです。
一言声をかけるのもタダですし、もともと自分の扱っている商品を提供することが多いため、
新たな追加投資や在庫リスクを考えなくても良いのです。
起業家のように、経営資源の少ない状況では、非常に効率の良い手法だといえます。
ただし、やり過ぎてはいけません。
あまり薦めすぎると、顧客の足は遠のいていきます。
「一緒に買うことが自然な関連商品」を、さりげなく提案するのがコツです。
関連商品を近くに置いたり、セットで販売して割引するというのも、効果的です。
ボールペンの替え芯や、プリンターのインク、革製品のオイルといった、補完品や補充品を一緒に並べておくと良いでしょう。
また、顧客によっては、関連商品の必要性を知らない人もいます。
「商品を購入するメリットを伝える」ことで、売上点数を増やして下さい。
② アップセル
客単価を増やす、もう一つの方法は、「顧客が最初に求めたものより、価値の高いものを売る」ことです。
この手法を、「アップセル」といいます。
例えば、あなたの会社が、リビングに置くソファーを売っているとします。
お客さんは、5万円の予算でお店に来られたとした場合、
まずその人に、ソファーの置き場所や使い方、部屋のデザインを質問します。
それにより、お客さんのニーズが理解できたら、
予算より少し高いが、座り心地も良く、リクライニングもでき、長持ちするソファーを勧めます。
もちろん、そのお客さんのニーズにピッタリだということが前提ですが、
長い目で見て、お客さんにとっても、その方がメリットがあるのなら、自信を持って勧めるべきです。
ここでの注意点も、クロスセルと同様、「無理やり押し付けない」ということです。
これをやってしまうと、お客さんは二度とあなたの店には来ることはありません。
質問により、顧客のニーズを正確につかみ、相手に満足してもらえる商品を勧めることが大切です。
アップセルのチャンスは、あなたが思っているより、多くあります。
せっかく客単価を増大できるチャンスがあるのに、
顧客のニーズをつかみきれないばかりに、提案できないでいる人をよく見かけます。
常に、「アップセルできないか」と意識することが大切です
すべてのノウハウは5原則に通ず
●モノマネは所詮、モノマネ
ここでもう一度おさらいしておきます。
売上げを伸ばすための方法は、下の5つ以外にはありません。
原則1 新規顧客を獲得する
原則2 顧客をリピーターにする
原則3 顧客の流出を防ぐ
原則4 価格を上げる
原則5 売上げ点数を増やす
世の中にあるどんなノウハウも、すべて、これら5つの原則に基づいています。
何度も言うようですが、マーケティングにおいて大切なことは、まずは「基本」を知ることです。
そして、自分に合ったマーケティング手法を、独自に創造するということです。
次から次へと、新しいアイデアが頭の中に湧いてくるように、日常生活の中でトレーニングすることが重要です。
そうでないと、会社にとって本当に効果的な手法などは生まれるはずがありません。
モノマネは、しょせんモノマネに過ぎないということを、実感するハメになります。
ただし、マーケティングの思考回路を作り上げるためには、
「これまでに他社で成功した事例を、出来るだけ数多くインプットする」ことも大切です。
それにより、あなたの頭は、より具体的に柔軟性を持つものに変化します。
会員用ページでは、そうした過去の成功事例を、可能な限り紹介致します。
それをヒントに、あなたの会社の独自のマーケティングノウハウを生み出してもらえたらと思います。
● 売上げ倍増は難しくない
あなたは、「売上げを2倍に増やす」というと、とてつもなく困難なことに思えるかもしれません。
しかし、前述した5つの方向からアプローチを行えば、どんな企業でも容易に達成できる数字です。
ここでもう一度、売上げの公式を見てみましょう。
客数を増やすための原則は3つです。
客単価を増やすための原則は2つです。
この公式の特徴は、5つの原則が「掛け算」だということです。
足し算ではありません。
もし、それぞれの要素が10%ずつ大きくなれば、会社全体では、1.6倍の売上増になります。
1.1倍×1.1倍×1.1倍×1.1倍×1.1倍=1.61倍
各分野を10%伸ばすことは、それほど難しいことではないはずです。
もし、各分野で20%ずつ伸ばすことが出来れば、全体では、約2.5倍という大幅な売上増です。
「売上を伸ばすための5つの原則」を、自分のものに出来れば、売上倍増は、決して夢物語ではありません。
諦めることなくチャレンジして下さい!!
マーケティングは自分でやる
最後に、あなたに伝えておくことがあります。
ここでは、マーケティングの考え方と、売上を伸ばすための5つの原理原則について解説しましたが、
マーケティングの世界は、会計や税務といった、「知識」がものを言う世界ではありません。
「知恵」の世界です。
大切なことは「理論」ではなく、「物の見方・考え方」です。
そして「使う」ことです。
武道の世界と同様で、基本の突きや蹴りをマスターした後は、自分で実際に体を動かしてみるしかありません。
その中で、自分にあった「武器」の使い方をあみ出すことが出来るかどうかが、勝敗を分けます。
そのためには、同業種、他業種を含め、有効だと思える手法を、まずは試してみることです。
その際、大切なことは、常に「基本」を意識するということです。
日常生活で目にする広告や、CM、売場のレイアウトや陳列方法、ホームページのデザインや文章など、トレーニングの場は無数にあります。
「この商品の付加価値は、何なのか?」
「この広告は、顧客にキチンと商品のベネフィットを伝え切れているか?」
「これを見たお客さんは、何を感じるか?」
「本当の欲求は、別のところにないか?」
といったことを考えてみてください。
こうした地道な努力は、いつか必ず、花開きます。
これは、私の経験から断言できる、一つの真実です。
あなたの会社の売上が倍増し、夢に少しでも近づくことを願っています。
最後に、他業種で成功している手法を、自分のビジネスに応用して成功した事例を紹介します。
クイズ形式にしましたので、「あなたの思考回路は、どの程度マーケティング的に働いているか」の判断材料になると思います。
ぜひ、気軽にチャレンジしてみてください。