● 売上が2倍に増えれば、利益も2倍??
1年間の売上と経費が以下のようなラーメン屋があったとします。
このラーメン屋の売上が2倍の6,000万円になったとしたら、利益はいくらになるでしょうか?
売上が2倍になったので利益も同じ2倍の200万円になるのでしょうか?
答えは「No」です。
なぜなら、例えば売上が2倍になったからといって、人件費が2倍になることはないでしょうし、まして家賃が2倍にはならないことは容易に察しがつくでしょう。
売上の増加がそのまま経費の増加につながるとは限りません。
逆に売上が半分の1,500万円になったとき、会社の利益または損失はいくらになるのでしょうか?
このセクションを読み終わった時、このラーメン屋の売上が2倍になったとき、または売上が半減した時の利益または損失の額がいくらになるのか、即答できるようになります。
起業し、経営をしていく上で、「自分の会社の売上がいくらなら、損益がトントンなのか」「目標とする利益を達成するためには、いくらの売上が必要なのか」を把握しておくことは、非常に重要です。
多くの経営者は、これまでの経験と勘を手がかりに経営を行ってきました。
物を作れば売れる時代であれば、それでもよかったのかもしれません。
しかし、今はそうではありません。
ぜひこのセクションで、「売上」と「費用」と「利益」の関係を理解し、自社の経営に役立ててほしいと思います。
● 損益分岐点で何が分かるのか?
ここでは、利益が出るしくみを知る上で欠かすことのできない手法の一つを紹介します。
それが、「損益分岐点」分析と呼ばれるものです。
損益分岐点とは、読んで字のごとく、損益がトントンになる時の売上高のことです。
さきほどのラーメン屋の例で言えば、3,000万円の売上で利益が100万円出ていましたが、損も利益も出ない売上はいくらになるのかということです。
損益分岐点分析は、損益がトントンになる売上高を導き出すことから始まりますが、その売上高を把握するだけではなく、そのほかにも色々な応用ができます。
損益分岐点分析でできること
①損益がトントンになる売上高が分かる
②損益がトントンになる販売数量が分かる
③目標利益を達成するためには、いくらの売上が必要かが分かる
④自社の経営が安定しているかどうかが分かる
もちろん、これ以外にも、実際の経営に必要なさまざまな管理数値を知ることができます。
あなたは、それを達成するために頑張れば良いわけですから、会社の存続に必要な明確な目標を持つことができます。
ただ、このセクションで、私があなたに伝えたいことは、損益分岐点を使った単なる「目標の立て方」ではありません。
そうしたテクニック的なことであれば、書店に行けばたくさん本が並んでいると思います。
大切なことは、損益分岐点を勉強することにより、「利益が出るしくみを知る」ということです。
ここで、あなたに伝えたいのは、ただその一点のみです。
ですから、まずは、損益分岐点の求め方やその応用例を紹介しますが、その後に、売上・費用・利益の関係について、さらに突っ込んだ解説を行います。
そこで、会社の利益のでるしくみを知り、自社の経営に役立ててもらえたらと思います。
●損益分岐点を求める前にコレだけは知っておけ!
① 売上と費用、利益の関係を押さえる。
損益分岐点を考えるためには、まず「売上」と「費用」及び「利益」の関係を理解する必要があります。
売上と費用、利益の関係を数式で表せば、下記のようになります。
しかし、損益分岐点を計算するには、「費用」についてさらに詳細に把握する必要があります。
あなたは、費用といったらどういうものを思い浮かべますか?
自分や従業員の給料、店舗や事務所の家賃、電気代や水道代といった水道光熱費、製品を作るための材料費や仕入、製品を宣伝するための広告費など、考えればいくらでも挙げることができます。
これらの費用は、大きく2つに分類することができます。
それは、「変動費」と「固定費」と呼ばれるものです。
この意味は後で詳しく説明しますが、ここでは、費用とは2つに分けることができることを理解してください。
そして、費用を「変動費」と「固定費」に分けることを費用分解といいます。
費用分解は、損益分岐点を計算するためには避けては通れない作業です。
この費用分解が出来なければ、損益分岐点は計算できません。
② 「変動費」と「固定費」に分ける(費用分解)
費用分解をする場合、費用を、売上や生産数量などの、企業の「操業度」との関係から考えます。
つまり、その企業の「売上や生産数量に応じて増減する費用」と、「売上生産数量に関係なく一定額で発生する費用」とに分けることです。
変動費 ・・・ 操業度(売上や生産数量など)に応じて変化する費用
→ 売上がゼロなら発生しない
固定費 ・・・ 操業度(売上や生産数量など)に関係なく一定額発生する費用
→ 売上がゼロでも発生する
ここで、「操業度」という言葉について説明します。
あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、これは経営において、とても重要な意味を持っています。
それについては後で説明しますが、ここでは「操業度」という言葉の意味を知ってください。
例えば、工場が100%稼働すれば、100個の製品ができるとします。
これが50%しか稼働しなければ、50個の製品しかできませんので、操業度は50%です。
また、工場の中に機械が200台あったとして、そのうち動いているのが80台だとしたら、操業度は40%です。
これは、販売についても同様に考えます。
売りたい商品が500個あったとしても、そのうち半分しか売れなかったとしたら250個です。
この場合に、売れた商品の数量の割合を「操業度」といいます。
これが、売上の数量と操業度の基本的な考え方です。
もう一つ、「変動費」と「固定費」についても分かりやすく説明します。
パンを1個つくるのに、小麦粉を30グラム使うとします。
1個で30グラムですから、2個なら60グラム、10個なら300グラム必要になります。
このように、生産数量や売上数量に比例して、増えたり減ったりする費用を「変動費」といいます。
しかし、それに対し、いくらパンをつくっても変わらないものがあります。
その代表的なものが、人件費です。
100個つくるのに3人必要だとして、1人の給料が20万円だとしたら60万円です。
これは、200個つくろうが300個つくろうが一定です。
逆に、全然売れなかったとしても、固定的に給料は支払わなくてはなりません。
このように、売上数量や生産数量に比例しないで、一定である費用を「固定費」といいます。
そして、この「変動費」と「固定費」を足したものが、「総費用」です。
売上から総費用を引いてプラスであれば、それが利益になるというわけです。
逆に、売上よりも総費用のほうが大きい場合には、赤字だということです。
費用が、変動費と固定費にきちんと分類され、売上高が決まれば、自動的に総費用が出ます。
つまり、売上高が決まれば、利益も自動的に計算できるというわけです。
しかし、ここで一つ問題があります。
実は、決算書というものは、「変動費」「固定費」という分類をしていないのです。
どんなに決算書の中を目をこらして見たとしても、そんな科目はどこにも出てきません。
ですから、この費用分解は、あなた自身でやる必要があります。
決算書の数字を「変動費」と「固定費」に分解し、お金の流れを一目で分かるようにした表を、「変動損益計算書」といいます。
これは、従来の損益計算書では分かりにくい「利益が出るしくみ」を、経営者サイドから判断しやすくした画期的な財務諸表です。
(変動損益計算書の作り方については、後で説明します)
「そんな面倒なものは作りたくない」と思われる人もいるかもしれませんが、この表の作成は、経営者であれば絶対にやらなくてはなりません。
「これをやらなければ、あなたの会社は潰れる!」といってもいいくらいに、重要な作業です。
なぜなら、費用分解しなければ、経営判断の材料として最も大切な、「限界利益」を把握することができないからです。
③ 限界利益とは?
まずは、下記の図を見てください。
これは、「売上高」「変動費」「固定費」「利益」の関係を表したものです。
限界利益 > 固定費 → 利益が出ている
限界利益 < 固定費 → 赤字
限界利益 = 固定費 → 損益がトントン ⇒ このときの売上高が損益分岐点
ここで、「限界利益」という新しい用語が出てきました。
限界利益とは、図の通りで、「売上高」から「変動費」を差し引いた利益です。
また、販売が1単位増えたときに増える利益のことを意味します。
サービス業や小売業では、売上総利益(いわゆる粗利益)にほぼ近くなります。
そして、固定費をこの限界利益の範囲内で押さえれば会社が赤字になることはまずないと言えます。
上の計算式から分かるように、「限界利益」とは、その売上高を上げるために必ずかかる費用(変動費)を引いた残りの利益です。
つまり、「売上から得られる利益の限界値」というわけです。
もし、固定費をゼロにできるのであれば、この限界利益がMAXの利益となります。
そして、製造業や建設業以外であれば、「粗利益」と言い換えてもかまいません。
この「限界利益」は、経営において重要な役割を果たします。
「各製品や事業が、会社全体の固定費にどれだけ貢献しているか」が分かるからです。
同時に、「個々の商品や事業の撤退」を判断する数値としても使えます。
すなわち、限界利益がマイナスになった場合は、その商品や事業は撤退したほうが良いということです。
限界利益が多少でも出ていれば、固定費の一部を賄うことができるわけですから、その商品・事業の存在価値はあります。
つまり、固定費負担に貢献しているということです。
しかし、限界利益がマイナスになってしまうと、固定費負担に貢献することができず、むしろ持ち出しになってしまいます。
これをもっと分かりやすく説明します。
あるメーカーが、それぞれの事業部で違った製品を製造していたとします。
その中のA事業部は、粗利益が200万円の赤字だとします。
この表で見るかぎり、A事業部は利益がマイナスですから、撤退すべきだと考えられます。
しかし、これに「限界利益」という考え方を加味して考えるとどうなるでしょうか?
こちらの表でみると、限界利益は300万円あり、これが固定費500万円の一部を負担しているという考え方ができます。
したがって、A事業部は撤退すべきではないということになります。
なぜなら、A事業部には固定費が500万円ありますが、これは、会社全体の固定費を、A事業部として割り振られたものであり、A事業を撤退しても減るものではないからです。
A事業部を撤退すると、そこで上げていた300万円の限界利益がなくなり、会社としては300万円の損失をこうむってしまうことになるのです。
こうした判断を下すには、限界利益を把握することが必須となります。
そして、そのためには、費用を、「変動費」と「固定費」に分けて考える必要があるのです。
それと同時に、限界利益は、個々の商品、サービス、事業部ごとに分けて分析することが大切です。
これは、私のこれまでの企業再生業務において必須ともいえる作業です。
各商品、サービス、事業部ごとに変動損益計算書を作成し、それを基に分析をかければ、経営判断として間違えることはありません。
目先の数字にまどわされることなく、正しい経営判断をするためには、限界利益の算出は必須だといえます。
● 実際に損益分岐点を計算してみよう
さて、それでは、損益分岐点の求め方を説明します。
最初に紹介したラーメン屋を例に、損益分岐点を求めてみます。
①費用を、変動費と固定費に分解する
まずは、勘定科目を元に、変動費と固定費に振り分けます。
材料費は、売上の増減により変動する費用ですから、「変動費」に分類されます。
それ以外の費用は、売上の増減、店の稼働に関係なく一定で発生する費用になりますので、「固定費」になります。
②限界利益率(粗利益率)を計算する
限界利益率とは、売上高から変動比率を引いたものです。
※製造業・建設業以外は、限界利益率=粗利益率 と考えて下さい。
「変動比率」とは、「売上に対する変動費の割合」を示す率のことで、このラーメン屋の場合は、40%になります。(1,200÷3,000=0.4)
ですから、このケースでの限界利益率は、60%(1-40%)となります。
③損益分岐点を計算する
これまでの数字をもとに損益分岐点を求めることができます。
損益分岐点とは、「粗利益が固定費と同額になる時の売上高」と説明しましたが、これを求めるには、以下のように計算します。
では、実際にラーメン屋の損益分岐点を求めてみましょう。
固定費は、1,700万円、限界利益率は、60%(1-0.4)ですから、これを上記の式に当てはめて計算します。
損益分岐点=1,700÷60%≒2,833万円
このラーメン屋の損益分岐点となる売上高は、2,833万円です。
この売上高を達成できない場合は、赤字となってしまいます。
④損益分岐点を図にしてみよう
このように、損益分岐点は、数式を用いることにより求めることができます。
さらに、もう少し損益分岐点を詳しく理解するために、図表を使って説明してみます。
縦軸に売上高、費用の金額、横軸に売上高の金額をとります。
①売上高線
これは縦軸と横軸のゼロのところから右上がりに45度の線を描きます。
②固定費線
年間固定費の金額のところで横軸と平行に線を描きます。
③変動費線
変動比率が40%なので、横軸が1増えたところで縦軸が0.4増える角度で直線を引きます。
この場合、縦軸と横軸がゼロのところから直線を引くのではなく、横軸はゼロ、縦軸が固定費の金額(この例では1,700万円)のところをスタート地点として引きます。
このように図表で表すことにより、①売上高線と③変動費線が交差する売上高が、損益分岐点であることが視覚的に理解できます。
損益分岐点を越えた売上高線と変動費線に囲まれた部分は「利益」を示しており、逆に損益分岐点を下回る売上高の場合は、変動費線が売上高線を上回っており、これは「赤字」を表しています。
損益分岐点というと、必ずこの図表が持ち出されますが、まずは、この図表の意味を知る上でも、損益分岐点売上高の計算式を理解してください。
損益がトントンということは、固定費をちょうど賄える粗利益(限界利益)が上がっている状態です。
すなわち、固定費=粗利益になる売上高ということです。
ですから、損益分岐点売上高とは、固定費と同じ粗利益÷粗利益率で求められるのです。
まだ分からない人は、図表と、上の検算を何度もじっくりと眺めてみて下さい。
必ず理解できるようになります。
これはとても重要な考え方ですので、中途半端な理解で先に進まないよう注意して頂けたらと思います。
損益分岐点の意味が理解できたら、次は、この損益分岐点をどうしたら下げられるのかを、図表で考えてみてください。
①固定費線を下げてみる
変動費線の角度が同じであるなら、固定費線が下がることにより、損益分岐点も下がります。
②変動費線の角度を下げてみる
変動費線の角度が下がるということは、逆にいえば、粗利益率が上がるということです。
これにより、損益分岐点も下がります。
確かに、売上を上げても利益を増やすことはできます。
この図表でいうと、損益分岐点の位置は変わらず、操業度の部分が右へ移動した場合をいいます。
しかし、起業家にとって大切なのは、「少ない売上高でも利益が出る」ということです。
利益が出やすい体質を作るためには、「損益分岐点をいかに下げておくか」ということが重要なのです。
ここで注意しなくてはならないのが、先ほどお話しした「操業度」です。
操業度とは、売れた商品の数量の割合をいいます。
つまり、この図表の横軸である操業度とは、「結果として売れた数量」のことなのです。
ここをカン違いしてはいけません。
操業度とは、生産数量のことではないのです。
生産しただけで、それがすべて売れるという保証はどこにもないのです。
確かに、2,000個作ったほうが、1,000個作るよりはコストが安くなりますが、その商品が売れるのとは全く別問題です。
作ったとしても売れなければ、1,000個作ったときよりかえってコスト高となり、損失になってしまいます。
これは、頭のどこかに、「作った数量がすべて売れる」という恐ろしい考え方があるからです。
この考え方は、自分でも気付かないうちに考えてしまう、経営の落とし穴とも言えます。
その意味でも、「経営をグラフでやってはいけない」のです。
損益分岐点の概略を理解するのにグラフや図表を使うのは良いのですが、経営自体は、グラフでなく数字でやるべきです。
実際は、操業度を一目盛り上げるためにも、たいへんな努力が必要となります。
安易に、「生産数量を上げれば、利益も上がる」などと考えてはならないのです。
例えば、あなたがおにぎり屋さんを経営しているとします。
売上単価100円で、原価が70円だとします。
このおにぎりを売るために、時給900円のアルバイトを雇っている場合、おにぎりが変動費で、人件費が固定費になります。
損益分岐点をクリアするためには、何個のおにぎりを売れば良いか分かりますか?
おにぎり1個当たりの儲けは30円です。(100-70)
時給900円を30円で割ると30個になります。
つまり、アルバイトが1時間に30個売ってトントンだということです。
利益が出るのは、31個売った場合です。
それでも、1個当たりの儲けは30円ですから、それから税金を支払うと、残りは18円です。
おにぎりを1時間で31個売って、利益はたったの18円なのです。
その上、銀行から融資を受けていたとしたら、もっと悲惨なことになります。
1時間で100個売ったとしても追いつかないかもしれません。
ましてや、アルバイトの人が、1時間で4~5個売っているだけでは大損してしまいます。
これが、実際の現場とグラフの違いです。
ですから、グラフなんかでは決して経営はできないのです。
経営の現場では、1円の利益が大切なのです。
● 損益分岐点を実際の経営に役立てよう
あなたは、損益分岐点売上高の算出方法が理解できたと思います。
しかし、これを具体的な行動につなげていくためには、損益分岐点を売上高ではなく、販売数量や客数・利用回数等の、日常の行動目標になる数字に置き換えてみることが大切です。
日常の活動で使えるようにしておかなければ、単に数字を計算しただけで終わってしまいます。
さらに、損益分岐点については、商品ごと、サービスごと、事業ごとに計算して、それぞれの目標値を知ることが大切です。
あるケーキ屋さんの例
・粗利益率(限界利益率)はいくらか?
100%-30%(変動比率)=70%
・月の損益分岐点売上高はいくらか?
350万円÷70%=500万円
・1日いくらの売上が必要なのか?
500万円÷25日=20万円
・1日何人の来店客数が必要なのか?
20万円÷2,000円=100人
これから述べることは、あなたにとって非常に大切なことです。
少し長くなるかもしれませんが、ここに書いてあることはすべてマスターして下さい。
それが、あなたの会社を倒産から救うことになります。
ここでは、まず、一般的な目標利益の立て方を説明し、そこで立てた利益を、損益分岐点を使っていかに予算編成していくかについて説明します。
そして、その後に、もう一歩踏み込んだ目標達成の方法をお教えします。
ここは大切なところですので、ぜひマスターするとともに、日常の経営に今日からでも役立ててもらえたらと思います。
①まずは目標利益を決定する
起業し、経営をしていくためには、目標を立てることが必須です。
では、どのように目標利益を決定すれば良いのでしょうか?
世の中には様々な企業があり、売上高や従業員数、資本金などの企業規模、創業年数や会社のビジョン、経営者の考え方など、おかれている状況は千差万別です。
ここでは、目標利益を決定する2つの方法について説明します。
■自社の過去の実績から目標利益を決定する。
創業3年目の企業であれば過去2年間の実績があり、創業10年目の企業であれば過去9年の実績があります。
これまでの実績をもとに来期の目標利益計画を立てることが可能です。
今までの売上高、変動費、固定費、利益の推移を十分吟味し、将来のビジョンなどを加味し、目標利益を決定します。
この方法は、一番よく使われるものです。
■業界の平均から目標利益を決定する。
自社が属する業界の平均値などを参考に、目標利益額を決定することもできます。
参考となる平均値などは、書籍やインターネットなどから探すことが可能です。
私がよく参考にするのが、同友館から出ている「中小企業の財務指標」です。
これは、業種別・従業員別に、過去3年間のあらゆる経営分析比率と売上高や利益などの実数が出ています。
目標利益額の決定方法には様々なものがありますが、それぞれ特徴を持っていますし、組み合わせて使うことが、より現実的であると思います。
②目標利益を達成する売上高を算出する
さて、自社の目標利益額が決定しました。
その目標利益額から必要な売上高を計算してみましょう。
損益分岐点を求める数式を応用して、以下のような方法で求めることができます。
つまり、損益分岐点を求める数式の固定費に、目標利益を足せばよいだけです。
例えば、以下のような企業があるとします。
来期の目標利益を、倍の1,000万円とした場合に必要な売上高を求めてみます。
まずは、限界利益率を求めます。
(5,000万円-3,000万円)÷5,000万円=40%
よって、必要売上高は、以下のように計算できます。
目標利益に必要な売上高=(1,500万円+1,000万円)÷40%
=6,250万円
この企業が来期1,000万円の利益を出すためには、6,250万円の売上が必要になります。
そこで求めた来期予算と今期実績を比較して、算出された必要売上高で利益が1,000万円を獲得できるのか、検算してみます。
変動比率は、60%で今期実績と同じなので、売上高が6,250万円の時の売上原価は3,750万円となります。
そして粗利益は、2,500万円となります。(6,250万円-3,750万円=2,500万円)
固定費は、1,500万円と一定ですので、粗利益から固定費を引くと1,000万円が残ります。
ちょうど目標利益の1,000万円と一致しました。
このように損益分岐点を求める数式を応用することによって、目標利益額に必要な売上高を計算することができます。
③損益分岐点を利用して収益性を高める
下の表を見てください。
これは、ある会社の本年度の決算結果です。
5,000万円の売上に対して、利益は200万円しか出ていません。
そこで、来年度は600万円の利益を獲得したいと考え、次の3つの方法を検討することにしました。
A案、B案、C案と3つの方法がありますが、これら3つの案を損益分岐点図表で表したものが下のグラフです。
それぞれの案が、なぜ利益を獲得できるのかを確認してください。
限界利益率、固定費額は今年のままで、売上高を伸ばすことにより、600万円の利益を獲得する
x=6,000万円ですから、来期の売上を6,000万円まで伸ばす必要があります。
売上を伸ばすことには限界もあり、固定費の削減もこれ以上は削れないので、売上原価率(変動比率)を仕入先との交渉により下げることにする
x=52%ですから、変動比率を60%から52%に押さえる必要があります。
売上を伸ばすことには限界があるため、売上はそのままで、粗利益率も変えず、固定費を削減することにより、600万円の利益を獲得する
x=1,400万円ですから、固定費をあと400万円押さえる必要があります。
グラフの青色の部分に注目してください。
それぞれの案が、なぜ利益を獲得できるのかが、お分かりになったと思います。
実際の経営では、これら3案を複合的に検討し、今後の戦略を立てていきます。
ただ、前にも述べたように、売上を伸ばすという方法はリスクを伴います。
なぜなら、準備したもの全てが売れるとは限らないからです。
収益性が安定し、強靭な企業体質を作り上げたいのであれば、損益分岐点の位置を下げることです。
損益分岐点を下げることにより、売上はそのままでも、利益の出る体質を作ることができます。
その中でも、最も意識しなければならないのが「固定費」です。
「あなたの会社の固定費は、毎月いくらかかっていますか?」
この質問にすぐに答えられない経営者は、おそらく儲かっていないはずです。
なぜなら、毎月の固定費を把握することが、儲かる会社の第一歩だからです。
なぜ、これが第一歩なのか?
それについて、詳しく述べてみます。
④固定費の重要性を知ろう
会社が利益を出すための不変の法則があります。
言われてみれば、当たり前すぎる計算式ですが、実際は、こんなに簡単な計算式が分っていない会社がごまんとあります。
自分の会社の固定費すら把握していなくて、利益など出るわけがないのです。
さて、ここで質問ですが、この計算式を現実のものにするためには、粗利益と固定費のどちらの数字から攻めていくべきだと思いますか?
答えは、固定費です。
なぜなら、固定費のほうが予測しやすいからです。
粗利益は、相手あってのものです。
相手がこちらの言い値で、こちらの思う量を買わなければ、予測は実現しません。
ましてや、売上を上げるなどという行為は、その前段階でかなりのコストを必要とします。
予測通り売上が上がれば問題ないかもしれませんが、そうでなければ、多大な損失を出してしまう恐れがあります。
予測に対するリスクが、高すぎるのです。
それに対し、固定費は、こちらだけで決められるものです。
経営者の意思一つで、多くも少なくもできます。
あらかじめいくらかかるのかも計算できます。
ですから、まずは、固定費から手をつけるべきです。
その上で、それを上回る粗利益を上げることを目標にします。
それが、経営の大原則です。
では、「固定費」はどうやって求めたら良いのでしょうか?
その方法は、これまで詳しく説明していますが、製造業や建設業でないなら、下の式で十分です。
「販売費及び一般管理費」については、販管費とも略しますが、人件費や家賃、広告宣伝費、消耗品費など、通常の営業活動を行っていくために必要な経費のことです。
決算書の付属明細書の中にありますので、確認してみて下さい。
「営業外損益」については、通常の営業活動でない財務にかかわる損益のことです。
雑収入や違約金、受取利息、支払利息などが代表的なものです。
しかし、起業家であれば規模もまだ小さいでしょうから、営業外損益の主たるものは、借入金の支払利息に限定されると思います。
ですから、固定費とは、販管費に支払利息を加えたものと考えてください。
起業家であれば、あまり厳密に固定費と変動費を区別する必要はないと思います。
あまり複雑にしてしまうと、社長自身が分らなくなってしまうからです。
また、固定費については、起業家であっても、もう一つプラスしてほしい費用があります。
それは、会社の戦略費です。
今はかかってないが、今後投入しようと思っている経費をプラスして下さい。
例えば、今後投入しようと思う広告宣伝費や研究開発費、人材の採用や研修費などです。
これらの費用は、将来、会社を成長させるためには絶対に必要な経費です。
常に会社の存続を考え、そのための経費を前倒しするという考え方は、経営者になくてはならないものです。
今儲かっているからと油断することなく、常に危機感を持ち続けるよう注意して下さい。
最後に、固定費について大切なことを述べておきます。
それは、固定費には、下げていい固定費と、下げてはいけない固定費があるということです。
固定費を下げれば利益が上がるわけですから、何であれ固定費と名のつく経費であれば、下げたほうが良い気がしますが、決してそうではありません。
固定費を下げる場合には、キチンと区別しなければ、後々、大変なことになってしまうのです。
では、何を下げてよくて、何を下げてはいけないのか?
その答えを述べる前に、ある実際の企業のケースを例にあげて説明してみます。
アメリカのスーパーマーケットの大手に、ウォルマートとKマートがあります。
両者はライバルでしたが、ウォルマートは破竹の勢いで成長を続け、世界一の小売業になりましたが、Kマートは2002年に一度破産してしまいました。
同じ低価格を売りにするお店であった両者に、なぜこのような違いが生まれたのだと思いますか?
その最大の原因は、コストに対する考え方の違いです。
この考え方の違いが、両者の行く末を決定づけたといえます。
ウォルマートは、平日でもレジにはすべて店員さんがついており、その上、店の入口には案内係までいて、いつもお客様をお迎えしています。
それに対し、Kマートは、平日はお客様が少ないので、レジは少ししか開けません。
そのため、お客さんはレジに並ぶようになります。
また、レジ以外でも、店内清掃の人員をできるだけ少人数で行うようにして、低価格を実現していました。
コストの合理化を考えるのであれば、Kマートのやり方もあながち間違っているとはいえないような気もします。
ウォルマートは、お店にお金をかける分、本社は、これが世界一の小売業かと思われるほど粗末な建物でした。
その中では、従業員が所狭しと働いています。
唯一、大事な顧客データが保管されているコンピューターだけが、セキュリティの高い頑丈な建物の中に収められていました。
つまり、ウォルマートは、お客様の目に見えるところ、お客様に満足して頂くこと、感動を与えることに直接関係するコストは、徹底的にかけていたのです。
その反面、本社の設備やスタッフ部門など、お客様に直接関係しない部分は、徹底的にコストを削減しました。
これが、両社のコストに対する決定的な違いです。
Kマートは、コスト削減を一律に行ったのに対し、ウォルマートはお客様との関連で区別したということです。
会社が限られた資源の中で最大の成果を上げるためには、一律にコストをかけるわけにはいきません。
それと同時に、一律にコストを削減するわけにもいかないのです。
こうしたメリハリのあるコストのかけ方が、会社を成長に導くことになります。
あなたの会社では、どこにコストをかけていますか?
● 損益分岐点分析を応用しよう
①「損益分岐点比率」で、どれくらい収益性があるかを見る
「損益分岐点比率」とは、「損益分岐点の位置」「損益分岐点の高さ」とも呼ばれ、実際の売上高に対して、損益分岐点売上高はどれくらいのところに位置しているのかを示す指標です。
損益分岐点比率が低いということは、実際の売上高よりも損益分岐点売上高が低い位置にあることを意味します。
つまり、低いほうがより健全であり、それだけ企業の収益性があるという意味です。
損益分岐点比率は、損益分岐点売上高を実際の売上高で割ることで求めることができます。
例を挙げて計算してみましょう。
売上高 2,000万円
固定費 900万円
変動比率 40%
まずこの会社の損益分岐点を求めます。
損益分岐点は、固定費を限界利益率(1-変動比率)で割って求めるので、1,500万円になります。
900万円÷(1-40%)=1,500万円
次に損益分岐点比率を上で示した数式に当てはめて計算します。
1,500万円÷2,000万円=75%
この会社の損益分岐点比率は、75%となります。
これはどういうことかというと、この会社の損益分岐点は、実際の売上高の75%の位置にあることを示しています。
この比率が100%に近ければ近いほど、ギリギリの経営だということですし、逆に、低ければ低いほど、経営に余裕があることとなります。
つまり、損益分岐点比率とは、会社経営のギリギリ度を表す数値なのです。
この評価の理由は、「単年度であれば売上が20%以上も落ちることは滅多にないだろう」という意味です。
ですから、損益分岐点比率80%未満であれば、「良」だということなのです。
損益分岐点比率はさまざまな使い方がありますが、その中で、最も分りやすい例を一つ紹介します。
例えば、あなたの会社の損益分岐点比率が93%だとします。
上の表での評価は「不可」ですが、これを日数に直して考えると、より現実的なものになります。
30日×93%=28日
つまり、あなたの会社は、毎月28日までが固定費を稼ぎ出す活動を行っており、残り2日が利益を上げる活動を行っていることになります。
確かにこれでは、安定した経営とはいえないということがお分かり頂けると思います。
②「安全余裕率」で、売上があと何パーセント落ちても大丈夫かを見る
「安全余裕率」とは、あとどれだけ売上高が減少しても、損益をトントンで持ちこたえられるかを示す指標です。
この安全余裕率が高ければ高いほど、損益分岐点までの余裕があり、安定した経営だということになります。
先ほど説明した損益分岐点比率を用いることによって、安全余裕率を求めることができます。
損益分岐点比率であげた例をもとに安全余裕率を計算してみましょう。
安全余裕率=100%-75%=25%
つまり、この例では、現在の売上が25%減少しても損益トントンを維持できることになります。
安全余裕率も、日数で考えると現実味が出てきます。
先ほどの例と同じで、あなたの会社の損益分岐点比率が93%だとします。
ということは、安全余裕率は7%だということです。
これを日数で計算してみます。
30日×7%=2日
つまり、あなた一人だけの会社であるなら、月に2日しか休めないということです。
3日休むと、もう赤字に転落してしまうことを意味します。
これでは何のために起業したのか分りません。
また、安全余裕率については、次の計算式でも算出できます。
この算式については、「経営に本当に必要な管理数値とは」のセクションの中で解説していますので、そちらを参照してください。
→利益率を判定する、万能の財務指標がコレだ!
● 損益分岐点を活用した具体的戦略例
これまでの説明で、あなたは、損益分岐点の基本についてはマスターして頂けたと思います。
ここでは、損益分岐点を実際の経営現場でどのように活用するのかを知ってもらえたらと思います。
まだ基礎コースですので、あまりピンとこないかもしれませんが、ここでは雰囲気だけつかんで頂ければ結構です。
具体的手法については、上級編で詳しく解説いたします。
ここに挙げた2つの事例は、実際に手がけた実例です。
経営の現場では、どのように考え、どういった戦略を打つとどうなるのかを感じてもらえたらと思います。
■変動比率を低下させ利益を増やす
ここでの事例は、変動比率を低下させることにより、限界利益率を向上させ、最終的な利益を拡大したケースです。
事例1
電気製品を通信販売しているA社は、インターネット・電話・FAXにより受注していましたが、注文から納品まで10日前後の日数がかかっていました。
そこで、顧客からの注文に対し迅速に対応するためと、コスト削減のために、パーツメーカーとの間でSCMを構築することにしました。
SCMとは、取引先との受発注、資材の調達から在庫管理、製品の発送までをコンピューターを使って総合的に管理することです。
これにより、A社だけでなく、各パーツメーカーにおいての欠品を減少させ、見込み大量発注をなくし、出荷・配送スケジュールを管理することにより、変動費の3%削減を達成するという戦略です。
結果として、注文から3日で顧客に製品を届けることができるようになり、変動比率も5%削減することに成功しました。
■固定費を削減して利益を増やす
ここでの事例は、固定費を削減することにより、最終的な利益を拡大したケースです。
先ほどの事例1もそうですが、どちらの方法も、売上高を増やすことなく利益だけを増やすことに成功している点に注目して下さい。
事例2
システムキッチンメーカーのB社は、販売代理店や工務店、不動産会社の顧客からの問い合わせを、年間9万件電話で受け付けていました。
この電話対応を行うためのコールセンターに、80人のオペレーターを抱え、24時間体制を敷いていたので、人件費が多額になっていました。
また、この電話はフリーダイヤルを活用していたため、通信コストもかなりの金額に上りました。
そこで、新たなIT投資を行い、システムを構築することにより、電子メールとウェブサイトでの顧客対応に切り替えることにしました。
それにより、顧客へのサポートコストを7割削減するという戦略です。
新たなシステム構築のための初期投資額は3,000万円であり、減価償却費を始めとしたランニングコストの増加分は1,000万円になりました。
しかし、新システムの運用により、コールセンタースペースの削減と、オペレーター人員を80%削減することができました。
その上、フリーダイヤルによる通信コストも70%削減できました。
結果として、固定費の総額を年間で6,000万円削減することに成功し、損益分岐点は低下し、利益を増加させることができました。
● 実際に変動損益計算書を作って経営分析してみよう!
これまでの話から、コストを「変動費」と「固定費」に分解し、「限界利益」を算出することの重要性はお分かり頂けたと思います。
そのためにはまず、「変動損益計算書」を作成する必要があります。
これは、損益分岐点の算出だけでなく、あらゆる経営判断を行う上で必須といえる作業です。
最初は面倒かもしれませんが、これを行うことにより、必ず、あなたの経営能力は向上します。
それと同時に、あなたの会社が利益を生む仕組みを、ひと目で把握できるようになります。
ぜひ、あなたの会社の成長と存続にお役立てください。
下記をクリックすると、決算書の数字を打ち込むだけで、自動的に変動損益計算書が作成され、それと同時に、いくつかの経営分析数値が表記されるソフトが用意されています。
会社の現状をお知りになりたい方は、トライしてみて下さい。
● 最後に ~損益分岐点の真の威力とは~
これまで、損益分岐点を使い、あなたの会社の良し悪しを判定する方法について述べてきました。
損益分岐点分析とは、会社経営の体温計のようなものです。
一般人であれば、36度が平熱であり、健康な状態を示していることになります。
38度くらいであれば、薬を飲めば治るかもしれません。
しかし、40度を越える高熱を発する病におかされると、健康を害するだけでなく、生命の危険さえあります。
会社経営の場合も同様に、損益分岐点は平熱といえる経営状態を表します。
しかし、最悪の場合、平熱を越えた40度の熱(損益分岐点100%超)が続けば、やがて命が危なくなります。
いわゆる倒産です。
そこで、4半期ごとに自社の損益分岐点をつかみ、熱が高いときには、すぐに解熱のための薬(改善策)を飲むことが、会社存続のポイントとなります。
つまり、既存事業における、日常業務の改善テーマの判断基準として活用するということです。
目標とする利益を確保するためには、どの固定費をいくら削減しなくてはならないのか、変動費を下げるためには何から手をつけるべきか、といったことを、商品別、事業部別に検討します。
それにより、同時に、生産管理や販売管理が可能になるというスグレものです。
しかし、損益分岐点の本当の存在意義は、これだけではありません。
業歴3年程度の起業家であれば、会社の採算性判定を行うための管理手法としての存在意義だけで十分かもしれませんが、真の活躍場所はもう少し先になってから現れます。
経営者にとって最も大切なものは、急激な事業環境の変化と、その方向性をいち早く見抜く洞察力と先見性です。
そして、そのためには、事業における投資と回収に関する「投資採算性」と、売上・費用・利益に関する「操業採算性」を数字で判断できる知識が必要となります。
それが、プロの経営者というものです。
経験やカンに頼るのではなく、キチンと数字で採算性をハジき出せなくてはなりません。
その時、必ず身に付けておかなくてはならない知識が、損益分岐点分析なのです。
事業規模が小さいうちは、それほど気にならないかもしれませんが、起業した以上は、あなたは自分の会社を成長・存続させたいと願っているはずです。
これから先のあなたには、会社の成長・存続を賭けた、事業の構造改革や新規事業への参入が待ち受けています。
また、そうした存亡を賭けた会社戦略だけでなく、会社戦略を具現化していくための下位戦略も必要になります。
マーケティング戦略や生産・販売戦略、部門戦略を策定する上での判断基準が明確でなくてはなりません。
これらの戦略的意思決定を行う上で、絶対になくてはならないツールが、損益分岐点分析です。
むしろ、日常業務改善における活用よりも、こうした戦略的意思決定の判断基準として、絶大な威力を発揮するのが、損益分岐点分析といえます。
「これなくして、投資採算性の判断はできない」といっても過言ではないものです。
ですから、起業家であるあなたは、損益分岐点分析だけは必ずマスターしなければなりません。
損益分岐点を使った経営戦略の練り方については、上級編で、実例を交えながら具体的に解説させてもらいます。
それまでは、まず基本をマスターして下さい。
日常業務に限らず、普段の生活の中で、損益分岐点や安全余裕率を意識するようにして下さい。
私などは、立ち食いそば屋で食事しているときでも、無意識のうちに、席数と客単価・従業員数・客の回転率などから、損益分岐点を計算しています。
そうした努力の積み重ねが、経営者としての判断力の向上につながります。
会社の採算性を把握することにより、儲けの生まれる仕組みを完璧に理解できることを願っています。