特典-資金調達2-政策金融公庫で確実に資金調達するノウハウ

● 国民生活金融公庫の特徴とは?

国民生活金融公庫(通称「政策金融公庫」)は、政府系金融機関の代表格です。

政府系金融機関の特徴として、「一般の金融機関からの融資が困難な国民を助ける」という大義名分があり、政策金融公庫のほかにも、中小公庫、商工中金、農林公庫などがあります。

しかし、これらの中でも、起業家が圧倒的に借りやすいのが「政策金融公庫」です。
その後の事業展開を考えた場合、政策金融公庫で断られたら後が続かないケースも多々ありますので、最低限これだけはマスターしておいて下さい。

では、政策金融公庫の特徴を説明していきます。

1.政策金融公庫は、国が作った金融機関である

先ほどの大義名分のところでも述べましたが、これが銀行と決定的に異なる点です。
つまり、営利を目的とする銀行であれば、財務内容の健全な大企業にお金を貸したいと考え、業績の不安定な中小企業や起業家の融資は後回しになってしまいます。

しかし、「国民生活の向上に寄与する」という目的で作られた政策金融公庫であれば、そうした起業家や中小企業であっても、親身になって融資を検討してくれます。
これは後で詳しく述べますが、政策金融公庫の融資に関しては、「開業計画書」というものを作成します。
もちろん、これは、ただ埋めるだけではいけません。

この「開業計画書」の書き方ひとつで、融資が実行できたり、できなかったりする重要なものですが、その書き方のコツにこの「大義名分」を利用します。

2.開業のための資金も貸してくれる

政策金融公庫は銀行と違い、実績がない会社や個人事業主の開業資金も貸してくれます。
これも、銀行との大きな違いです。

最近は、銀行も地域経済の活性化のために、「新規開業を応援します」というキャンペーンを実施しています。

しかし、あなたは、この宣伝文句を真に受けてはいけません。
銀行の大前提は、絶対にとりはぐれのない貸付をすることですから、開業医や弁護士のように、かなり恵まれた状況で事業をスタートできる人たちをターゲットにしています。

あなたが、宣伝通りの営業を信用して、申し込みなどしようものなら、ほぼ確実に時間の無駄になるでしょう。

3.金利が最も低い

政策金融公庫の金利は、原則として「長期プライムレート」と同水準に設定されています。
長期プライムレートとは、銀行が優良企業に貸し付ける際の最優遇金利のことです。

したがって、これより低い貸出金利はないといえます。
現在の金利は、長期固定金利で2.5%です。(特利では1%台もあります)
銀行から保証協会つきで融資を受けた場合であっても、年利3%程度に加えて、保証協会の保証料が1.35%ぐらいですので、実際は4%以上になります。

ですから、銀行から借りるのと比較しても、資金調達コストは半分程度で済むということです。

もうひとつの大きな特徴は、会社の規模や業歴、決算内容にかかわらず、誰でも同じ金利で借りられるということです。
普通、銀行で融資を受ける場合は、規模が小さく業歴が短いケースだと、融資金利は高く設定されます。
これも政策金融公庫の大きなメリットだといえます。

● 政策金融公庫で実際に利用できる制度はこれだけ!!

政策金融公庫には、さまざまな融資制度があります。
政策金融公庫のホームページをご覧になれば分かりますが、種類が多すぎて、どれを選べば良いか迷うほどです。

これをみてあなたは、「こんなにあるのなら、どれかに引っかかるだろう」と楽観視するかもしれませんが、もちろんそんなに甘いものではありません。

これらの中には、実際に融資を受けることは、ほぼ不可能なものも多く混ざっています。

「では、いったいどの融資制度が借りやすいのか?」
「それを利用するための重要ポイントはどこなのか?」
起業前から起業三年目くらいまでの会社にとって、最も借りやすい融資制度とその特徴について述べてみます。

経営改善貸付(マル経融資)とは、商工会議所や商工会などの推薦によって、保証人も担保も不要で、政策金融公庫からの融資が受けられるという制度です。
この融資を受けるためには、以下の用件をすべて満たしていることが必要です。

1.従業員数

商業・サービス業・・・5名以下
製造業・その他 ・・・20名以下
意外と従業員数が少ない会社が対象であることに驚かれたかもしれません。

特に、商業・サービス業は5名以下ですので注意してください。

マル経融資は、起業家が最も借りやすく、最も有利な条件での融資ですので、社員が増える前に申し込みをするようにして下さい。

2.一年以上、同一の会議所・商工会の地域内で事業を行っていること

つまり、大前提この融資は、起業して1年経たないと利用できないということです。
しかし、何度も言うようですが、マル経融資はほかの商品に比べ、非常に借りやすいものです。

起業後1年経過したら、いつでも融資が受けられる状態にしておくことが必要です。
その手順については、後述します。

それと、当然のことですが、融資前に他の市区町村に引越しをするのは、やめておいてください。

3.法人税・所得税などを完納していること

法人であれば、法人税・法人住民税・事業税を完納していること。
個人事業主であれば、所得税・住民税・事業税を完納していることが条件です。
もちろん、お客様から預かった消費税も納付しなければなりません。

以前はそれほどうるさくなかったのですが、最近は政策金融公庫にかぎらず、保証協会、銀行のビジネスローン等も、税金の未納先に対しては融資を行いません。

特に政策金融公庫の場合は、国の金融機関ですので、立場上、税金の未納は絶対に許してはくれませんので、注意してください。
では、赤字だとどうなのか?

個人事業主の場合、赤字であれば所得税の申告をする必要はありません。
また、明らかに赤字だというようなケースでは、決算書も作成せず、税務申告もしていないことは珍しくありません。

こうした人が銀行に融資を申し込むと、まったくといっていいほど相手にしてもらえません。
しかし、政策金融公庫では、このようなケースでも事情を説明すれば、門前払いになるようなことはありません。

請求書や領収書などからおおまかな売上高や利益が把握できれば、その内容によっては融資を実行してもらえます。

また、赤字であっても、その金額や原因、今後の赤字解消の見込みがうまく説明できれば、十分チャンスはあります。
銀行は、原則として、赤字の事業者には融資をしませんので、その点でも政策金融公庫の優位性は高いといえます。

実際、私のところへ相談にこられる赤字の事業者の方でも、政策金融公庫に上手く説明できたおかげで、200万程度の融資を受けることができた方は、結構いらっしゃいます。

ですから、赤字や財務申告をしていないからといって、初めからあきらめる必要はないと思います。

4.商工会議所・商工会の経営指導を6ヶ月以上受けていること

これが、マル経融資の推薦要件として、最も重要なものです。
ですので、その対処法も含め、ここで詳しく解説してみようと思います。

この経営指導を受けるためには、まず商工会議所か商工会の会員にならなくてはいけません。
商工会議所と商工会の最大の違いは、区域の違いです。
ですので、あなたの事務所の所在位置によって、どちらに所属するのかは、おのずと決まっています。

商工会議所(商工会)は、地域で一定期間営業していれば、誰でも会員になれます。
年会費も一万円弱ですので、その後のメリットを考えれば入っても損はないと思います。

ここで「地域で一定期間営業していれば」と述べましたが、この期間は一般的には6ヶ月といわれています。
しかし、これは原則であって、あなたが「どうしても入会して勉強したいんだ」といえば、ほぼ確実に入会させてもらえます。

さて、次の問題は、「経営指導」です。

これは、商工会議所の職員が2ヶ月に1回程度、あなたの会社を訪問して、事業状況について話をするというものです。

指導というよりは、「相談に乗る」というスタンスですので、そのときに困っていることや分からないことがありましたら、何でも相談してみればよいと思います。
難しい案件であれば、専門家を紹介してくれますので、低コストで幅広いサービスを受けられるというメリットもあります。

ですから、起業家にとって最も効率的なやり方は、

まず起業すると同時に、商工会議所(商工会)に入会し、
6ヶ月以上の経営指導を受け、
起業から一年経過後、推薦をもらい、決算書と一緒に政策金融公庫にマル経融資を申し込む。

という手順です。

では、経営指導を受けさえすれば、簡単に政策金融公庫に推薦してもらえるのでしょうか?

結論としては、決算書の分析による財政状態が、融資を受けても十分返済できる会社であると判断されれば、推薦を受けることができます。
流れとしては、指導員が推薦を受けられると判断した会社を、月に一度開かれる審査会にかけます。

そして、そこで審査員が最終判断をすることになりますが、実際には指導員が審査会に回しさえすれば、ほとんどの会社は推薦をもらうことができます。

そして、自分の会社が推薦をもらうことができる内容かどうかは、事前に指導員に話を聞けば、大体のところは教えてもらえます。
それさえ分かれば、いくらでも打つ手はありますので、推薦をもらうことはそれほど難しいことではないのです。

また、6ヶ月の経営指導が必要要件となっていますが、以前より商工会議所の会員になっており、緊急の融資が必要な場合には、経営指導を受けることにより、その期間を短縮することも可能です。
実際にあったケースでは、妻が商工会議所の会員だったので、約3ヶ月の経営指導で融資を実行できたこともありました。

マル経融資は、起業家にとってこれ以上ないくらいの有効な融資制度ですが、注意すべき点が2つあります。

まず一つ目は、返済の遅延などの事故があれば、推薦してもらえないということです。

これは、あなた自身の延滞に限りません。
もしあなたが、誰かの連帯保証人になっており、その人間が政策金融公庫への返済を遅延していた場合でも、推薦してもらえないことになります。

もう一つは、政策金融公庫の他の制度で融資を受けたばかりの会社は、マル経融資の利用は出来ません。

前の融資を利用してから、1年以上の間隔をあけることが条件です。
ただし、この条件も、緊急の事情がある場合には、6ヶ月の間隔で融資してもらえたケースもありますので、あくまで原則だと考えれば良いと思います。

ただ、政策金融公庫には、起業家向けに他の融資制度もありますので、そちらとの兼ね合いを考え、最も効率的な順番で融資を実行すべきだと思います。
これについても、後述いたします。

以下に、マル経融資の詳細な内容とその注意点を示してみます。

http://www.kokukin.go.jp/tyuushou/kaizen_m.html

● 融資額

融資額の欄に、「550万円以下のほか別枠450万円以内」と示されてあるのがお分かりいただけると思います。
この「別枠」とは、最近の景気低迷を受けて、国が特別に用意した増額分のことをいいます。
年一回見直しが行われますので、景気によっては削除される可能性のある部分です。

つまり、マル経融資では、最大1,000万円まで融資を受けることが出来るということです。
これを聞いてあなたは、「凄いじゃないか!そんなに借りられるなんて!」と思われたかもしれませんが、現実はそんなに甘いものではありません。

実際には、99%の起業家は、550万円以内だけの取り扱いとなります。

別枠まで最初から使いきれる会社は、よほどの財務内容だと考えてください。
普通の場合だと、最初に受けた融資残高が半分以下まで返済を続けた時点で初めて、別枠の450万円を検討してもらえるのが現状です。

また、通常枠550万円以内となっていますが、何も考えないで事業計画書を提出した場合だと、200~300万円くらいではないでしょうか。
私が事業計画書の書き方を指導したケースでも、400~500万円くらいが実際の平均実行額ですから、あまり高望みしないほうが良いと思います。

● 無担保・無保証人

「その他」の欄に、「保証人・担保は不要です」と書いてあります。

これは文字通り、担保も保証人も必要ないという意味です。
しかも、この場合の保証人不要というのは、「代表者本人の保証すら必要ない」という意味です。

こんなオイシイ融資があるのかと驚かれたかもしれませんが、もちろん現実はそんなに甘くありません。

マル経融資もそうですが、政策金融公庫には、無担保・無保証人で融資を受けられる制度が、全部で3つあります。

① 経営改善貸付(マル経融資)
② 新創業融資制度
③ 第三者保証人などを不要とする融資

このうち、②の「新創業融資制度」については、起業家の方が最も利用するであろう融資なので、後で詳しく解説します。

③の「第三者保証人等を不要とする融資」というのは、事業主の奥さんや従業員でも保証人になることが出来るというものです。

普通、政策金融公庫から借入する場合には、同一生計の家族や、自社の従業員は保証人として認めてもらえません。
担保も無く第三者の保証人もいないという人には、たいへんありがたい制度だといえます。

ただし、この「第三者保証人等を不要とする融資」を受けるためには、次の条件を満たす必要があります。

① 税務申告を2期以上行っていること
② 法人・個人事業主としての税金を期限内に完納していること
③ 業績から判断し、第三者保証人が必要ないと認められること

このうち①は開業したばかりの起業家にはネックになりますが、②は比較的簡単にクリアできると思います。

問題は、③の条件です。
業績が悪いからこそ融資を受けたいと思うのですから、矛盾を感じるかもしれませんが、要は、「業績が良くなければ融資をしてもらえない」ということです。

では、業績はナニで判断するのか?
それは、「決算書」と「事業計画書」です。

融資を受けるための「決算書」と「事業計画書」の作り方のポイントは、別のカテゴリーで詳しくお伝えしますが、これはすべての融資に共通することです。

ほんのちょっとしたことを知らないだけで、融資を断られ、会社を潰すことにもなりかねませんので、経営者であるなら必ずマスターして下さい。
さて、話が長くなりましたが、自分でお金を借りたことの無い人が書いた本を読んでも、「政策金融公庫は無担保・無保証人の制度があるので、ぜひ活用を検討してみましょう!」と机上の空論を書き並べているに過ぎません。

実際に、政策金融公庫で無担保・無保証人制度を申請すると、ほとんどの場合、担当者から「保証人は用意できませんか?」と聞かれます。
「え!?なんで?」と思うのは当然ですが、これが現実です。

だからこそ、提出書類が重要なのです。

すでに起業されている人であれば、「決算書」や「事業計画書」、これから起業する人であれば、「開業計画書」。
これらの提出書類が金融機関の担当者から見て、十分融資に値すると思わせることこそが、無担保・無保証人への最短の道になります。

これも悲しいかな、どの本を読んでも、的を得たチェックポイントを解説しているものがありません。
あなたは、パワーポイントか何かで作った立派な事業計画書があれば融資を実行してもらえると思っているかも知れませんが、それはむしろ逆効果になります。

できるだけ完結に、ポイントだけを抑えた事業計画書でなければなりません。
「そのポイントとはどこなのか?」「どのように書けば、融資を実行してもらえるのか?」については、別のカテゴリーで詳しくお話します。

最後になりましたが、マル経融資は、ほかの金融機関の融資を含めて、その合計残高が4,000万円以上あると、使えないことになっています。
この点も、ご注意下さい。

先ほど、無担保・無保証人制度のところで説明した融資制度がこれです。

この制度は、開業時または開業後に必要となる事業資金を、無担保・無保証人で貸してくれるというものです。
これから開業する場合、または開業したばかりでマル経融資が受けられない起業家の方で、保証人が難しい場合には、この制度が最適です。

おそらくほとんどの起業家は、政策金融公庫であればこの融資を利用するのではないでしょうか。

担保・保証人が用意できるのであれば、政策金融公庫には、融資額上限7,200万円が可能な「新規開業資金」という制度がありますので、それを利用されても良いと思います。
では、「新創業融資制度」の詳しい内容と注意点を解説します。

まず下の表をご覧下さい。

http://www.kokukin.go.jp/yuushi/atarasiku/04_shinsogyo_m.html

● 開業して税務申告を2期終えておられない方

この融資は、起業して2年経過していると申し込むことが出来ません。
まさに、起業家のための融資制度です。
起業家の場合、一年たって決算書が出来上がれば、その財務内容を見られることになります。

大半は、融資に値しない内容であることが多いので、ある意味、起業直後での申し込みが最後のチャンスになる可能性もあります。

なお、知らないで、すでに2年過ぎていた場合は、「新規開業資金」での申し込みとなります。
ただし、保証人が必要です。

● 新たに始める事業について、6年以上の経験のある方

ここでは、全部で5つの要件のうち、いずれかに該当することが条件になっていますが、最も重要な要件がこれです。
他の要件では、なかなか融資を実行してもらえないのが実情です。

後で詳しく解説しますが、起業家が政策金融公庫に融資を申し込む場合には、「開業計画書」という所定の書類を提出します。

その中に「この事業の経験はありますか」という欄があります。
この部分をどのように作文するかが、融資実行において大きなウェイトを占めます。

政策金融公庫も見ず知らずの人間にお金を貸すわけですから、その人間がどのような経験や技能を修得しており、それをどのように事業に生かそうとしているのかを確認したいわけです。

彼らは、過去の膨大なデータから、「実務経験の無い業種での起業はうまくいかない」ということを知っています。
返済してもらえない可能性の高い人に、わざわざ融資しなくても、いくらでも資金の必要な人たちはいるのですから、むしろ当然のことといえます。

6年以上の社会人経験の無い場合は、大学等で習得した技能と関連付けることにより、「この事業については素人ではない」という内容の開業計画書を書く必要があります。

● 開業資金の2分の1以上の自己資金を確認できる方

この融資制度のすべての要件の中で、最も重要かつ知っておかなくてはならないのが、これです。
例えば、あなたが開業するに当たり、総額で1,000万円以上の資金が必要だとします。

ここで500万円の自己資金があれば、残りの500万円の融資を申し込む資格があります。
しかし、300万円しかなければ、いくら残り700万円が必要でも、自己資金と同額の300万円しか用意してもらえないわけですから、政策金融公庫は、事業計画書自体に無理があると判断します。

ですから、開業計画書を作成する前に、自己資金との兼ね合いをよく検討してから事業計画を立てるべきです。
そうでないと、最初から無謀な起業だと判断され、一銭も融資してもらえないことにもなりかねません。

では、政策金融公庫にとって「自己資金」とは、どんなモノを指すのでしょうか?

自己資金で最も重要視されるのは、「すぐに現金化できるかどうか」です。
これは、政策金融公庫に限らず、保証協会でもそうですが、起業時の自己資金については、すべて銀行などの預金通帳で確認します。

普通預金、定期預金や郵便局の貯金などが一般的ですが、株式や国債といった有価証券でもかまいません。
また、外貨預金や投資信託などもOKです。

それに対し、土地などの不動産は、自己資金とはみなされません。
売却までに時間がかかりすぎるからです。

つまり、「すぐに現金化できる」という金融資産が自己資金なのです。
ここであなたは、「じゃあ、親や知人から一時的にお金を借りて、それを自分名義の通帳に入金しておけばいいのか」と考えたかもしれません。

答えはNOです。

これまでも、融資申し込みの1~2週間前に通帳に現金を入金して、これを自己資金だと主張する人がいました。
政策金融公庫担当者に聞くと、「これまでそうした人がたくさんいたので、現在ではそうした行為はまったく信用していないし、自己資金ともみなさない」という回答でした。

もちろん、「タンス預金をしていた」などという主張も、たとえ本当であったとしても信用してくれません。

明確に証明できない限りは、すべて却下です。

では、自己資金を貯めてない起業家は、融資を受けることが出来ないのでしょうか?
いえいえ、そんなことはありません。
これには、ちゃんと裏ワザがあります。

そのヒントは、自己資金の確認方法にあります。

保証協会もそうですが、政策金融公庫は開業融資に際し、あなたの自己資金を過去6ヶ月前にさかのぼって確認します。
これは、今現在の自己資金が通帳で500万円あることが確認できたとしても、6ヶ月前には100万円しか確認できなければ、自己資金は100万円とみなされるということです。

これは裏を返せば、6ヶ月前までの資金の流れが把握できるようにしておけば、政策金融公庫でも保証協会でも、自己資金として認めてくれる確率がグンと高くなるということです。

「自己資金」とは、読んで字の如く「自分の資金」という意味です。
つまり、「通帳で確認できる自分で貯めたお金」のことをいいます。
だから、出所のハッキリしないお金は、自己資金とは認めてくれないのです。

では、親兄弟や友人から調達した資金はどうなのか?
こうした資金は、一般に「準自己資金」と呼ばれますが、これもある意味「自己資金」なのです。

ですから、こうした資金が調達できるのなら、融資申し込みの6ヶ月以上前に、彼らの通帳からあなたの通帳へ、振込みをしておいてもらうべきです。
そして、振込み人の欄は「ホンニン」としてもらうのです。

決して、現金で入金してはいけません。
現金で入金すると、お金の出所を聞かれますし、担当者からみると、怪しいお金と判断されかねません。

そして、万一、親兄弟からの調達だとバレた場合は、「私が何度も親兄弟に頭を下げて用意したお金です。石にかじりついてでも頑張りますので、私の努力を認めてください。」と、担当者を説得して下さい。

私のクライアントで、自力で貯めた資金は100万円しかないのに、政策金融公庫に何度も足を運び、最終的に500万円の融資を実行してもらった方もいらっしゃいます。

ですから、自己資金から少ないからといって、決してあきらめる必要はありません。
経験年数や開業計画書の内容さえ良ければ、こうした準自己資金であっても担当者は前向きに考慮してくれます。

ただし、何度も言うようですが、「開業計画書」次第です。
「開業計画書」の書き方のコツは、後で詳しく解説します。

最後に、「自己資金」について注意すべきことを述べておきます。

まず、起業時から融資申し込みまでの間の出金については、できるだけ預金通帳にその痕跡を残しておいて下さい。
振込みが不可能な場合は、領収書を残すことも必要です。

なぜなら、その6ヶ月で預金残高が減っていても、事務所の保証金や什器備品の購入などに資金を使ったことが確認できれば、その減少分は自己資金として認めてもらえるからです。
これを知らなかったばかりに、ドンブリ勘定で起業準備の資金を使ってしまい、いざ融資の段階になって、それらの支払いを自己資金として認めてもらえなかったケースもありますので、くれぐれも注意してください。

もうひとつは、ほかの債務がある場合、その2年分の返済額を、自己資金から差し引いて判断するケースがあるということです。
たとえば、現金で500万円の自己資金が確認できたとしても、住宅ローンや車のローン等で毎月10万円の支払いがあれば、2年分の合計240万円が自己資金から差し引かれ、260万円部分しか自己資金として認めてもらえません。

これも必ずとは言いませんが、開業計画書の内容がボーダーライン上にある場合には、こうしたことを口実に断られるケースも多々あります。
起業家の方は、くれぐれもご注意下さい。

マル経融資も同様ですが、開業資金の調達は、融資申し込みの6ヶ月前からすでに「戦い」は始まっています。
ましてや、これから起業する方は、後で後悔しないよう、できるだけ早めに準備することです。

知らずにやってしまったことは取り返しがつきませんので、起業のための準備は、まず専門家に相談してから、最善の方法を選択すべきだと思います。

政策金融公庫には、新規開業者向けの融資制度として、この2つが用意されています。

以下がその内容です。

http://www.kokukin.go.jp/sinkikaigyou/loanj_c.html

この2つの融資制度の注意点については、起業家向けということですので、これまで紹介した融資制度とほぼ同様です。
特別に融資が実行されやすいということもありませんし、融資額も上限いっぱい借りられることはほとんど不可能です。

実際に開業資金で、この限度額を借りられるのは、しっかりした開業計画書を作成し、高額の返済に耐えうる事業見通しがある場合だけであり、ごく一部の例外的なケースに限られます。

また、この融資制度の特徴は、「必ず第三者保証人が必要」だということです。
先ほど紹介した「新創業融資制度」は、ここで保証人が用意できない起業家のための特別制度だといえます。
ですから、ほとんどの起業家は、先の「新創業融資制度」のお世話になると思います。

また、この制度の利用対象は、「新規開業して5年以内の方」となっています。

「新創業融資制度」では、起業して2年経過すると対象者にはなりませんので、知らずに2年以上経過してしまっている場合は、こちらの融資を検討してください。

政策金融公庫の数ある融資制度の中で、もっとも利用されている制度です。

ほとんどの業種の中小企業が対象者ですし、資金使途も原則自由です。
金融業、投機的事業、一部の遊行娯楽業を除き、ほとんどの中小企業が利用できますので、あなたも事業を継続している限り、いつかは利用することになると思います。

以下がその内容です。

http://www.kokukin.go.jp/tyuushou/jiyusij_m.html

ここでも、融資額の上限は4,800万円となっていますが、もちろん必ず貸してくれるというものではありません。

会社の返済能力に見合った金額までしか融資してもらえません。

実際に政策金融公庫で融資を受けている会社の平均借入額は、600万円程度です。
ですから、ほとんどの会社は、この「普通貸付」で事足りるといえます。

また、先ほど「会社の返済能力に見合った金額までしか融資しない」と言いましたが、政策金融公庫に限らず、全ての金融機関は、独特の返済能力計算方法を用います。

その計算により、融資金額を決定しますので、経営者であれば最低限、その公式は知っておいて下さい。

もちろん一種類だけではありませんので、どの計算式で査定されても希望金額に達するよう、事業計画書を作成する必要があります。
その計算方法については、別のカテゴリーで詳しく解説します。

また、普通貸付を受けるにあたっては、第三者保証人または担保が必要となります。

1,000万円以下の少額の融資の場合には、保証人だけで大丈夫ですが、それ以上の金額になると、原則担保が必要になります。
その心づもりで、資金繰りを考えておくことが大切です。

ただ、政策金融公庫の融資制度は、他の金融機関と比較して、返済実績を重視しますので、その実績によっては、第三者の保証人を用意しなくてもよいケースもあります。

ですから、まず最初は、「新創業融資制度」を使い、保証人なしで実績を作り、
返済が半分以上終わったところで、「普通貸付」に移行するという手順を踏めば、
保証人なしで1,000万円の資金調達も可能となります。

私のクライアントで、2~3年後に資金が必要となる会社では、それほど必要でなくても、とりあえず政策金融公庫で借りて実績を作っておくよう指導しています。
そうすることによって、イザという時の資金調達で苦労することは、ほとんどありません。

この融資制度は、中小企業が、その時々の環境の変化にスムーズに適応できるよう設けられた制度です。
すでに説明した「新規開業資金」や「女性・シニア起業家資金」も、この特別貸付の一つです。
それぞれが特定の目的のために設けられたものであり、制度ごとに利用対象者・資金使途などが定められています。

そのため、現在は多数の制度がありますが、その中でも全ての業種に共通して利用できる特別貸付には、主として以下のようなものがあります。

1.セーフティネット貸付(資金繰り等の悪化の改善)
2.経済再生貸付(銀行の貸し渋り・貸し剥がしの対策)
3.経営革新貸付(IT投資や事業拡大の資金)
4.緊急返済特別貸付(高金利貸付の対策)

これらの中で、最も利用されているのが、「セーフティネット貸付」です。

売り上げの減少や利益の減少、取引先の倒産などにより、資金繰りに支障をきたしている人が対象になります
以下が、その内容です。

http://www.kokukin.go.jp/yuushi/already/tyuusyo/spsearch/safty/07_keieisien_m.html

要件等に関する注意点は、「普通貸付」とほぼ同様です。

違うのは、「普通貸付」と比べて、融資額が大きい、利率が低い、返済期間が長いなど、融資条件が有利だということです。

ただし、それだけに普通貸付よりは、説得力のある事業計画書が要求されます

保証人などについては、普通貸付と同様に、原則は第三者保証人が必要ですが、内容によっては免除してもらえる場合もあります。
この「特別貸付」について、知っておくべき事が二つあります。

まず一つ目は、この融資制度は、「別枠で設けられている」ということです。

つまり、「普通貸付」などと併用して利用することができるのです。

もちろん、必ずしも併用できるというわけではなく、審査によって判断されますが、
「決算書」や「事業計画書」の内容次第では、一億円以上の資金調達も可能です。

もう一つは、「ノンバンクからの借り入れを肩代わりしてもらえる」ということです。
これは意外に知られていませんが、一部の金融機関を除いて、ノンバンクの借り換えを検討してくれるのは政策金融公庫だけです。
ただし、これには条件があります。

1.ノンバンクでの借入により、会社の存続に支障を来たしている場合
2.借り換えすることにより、健全な財務体質・資金繰りが大幅に改善される場合

保証協会も同様ですが、政策金融公庫のような政府系金融機関は、メガバンクや地方銀行、信用金庫といった「民間金融機関からの借り入れを肩代わりしてはならない」ということになっています。
肩代わりすれば、その行為は、「民業圧迫」であると批判を受けるからです。

しかし、ノンバンクだけは、政府系金融機関の本来の目的である「民間金融機関では対応が難しい分野の補充的役割を果たす」というお題目に該当します。

ですから、どうしても資金調達ができず、やむをえず高金利のノンバンクを使ってしまい、返済がきつくなっている人は一度検討してみて下さい。
私のクライアントでも、銀行の貸し渋りに合い、やむなくノンバンクから2,500万円の借入をしてしまった会社がありました。

金利が約15%、しかも2年で返済しなくてはなりません。
私のところで事業計画書等を作成して、政策金融公庫に肩代わりを申し込みましたが、結果として、融資額2,500万円、金利3%、5年返済で借り換えすることができました。

これにより、毎月の返済額は100万円以上も減少しました。
つまり、年間で1,200万円以上の資金調達が出来たのと同じ結果になったのです。

良いことづくめの借り換えですが、融資実行までこぎつけるには、前述した2つの条件がポイントになります。

金利が安くなり、資金繰りが楽になるという程度では、承認は下りません。
いかに、この2つの条件を満たす事業計画書が作成できるかという点と、決算書の内容がポイントになります。

そうした意味でも、経営者であるなら、金融機関から見た「融資したくなる決算書」とはどのようなものなのかを知っておく必要があります。

それについては、別のカテゴリーで詳しく解説致します。

これだけは知っておけ!政策金融公庫の落とし穴

● 政策金融公庫からの、保証協会利用の話には乗るな!

あなたが、やっと知人に保証人をお願いして、「新規開業貸付」を申請するため、政策金融公庫の窓口を訪れたとします。
あなたは、「これで何とかなる」と内心ホッとしているかもしれませんが、政策金融公庫も案外そんなに甘いものではありません。

「保証人の保証能力が低いので、今回は無理ですね」と断られることも多々あります。

あなたも、「そこをなんとか・・・」と食い下がるでしょうが、その際に政策金融公庫の担当者から、「保証協会の保証が付けば検討しますよ」と言われることがあります。

これまで政策金融公庫では、用意した保証人が保証能力不足だった場合、別の保証人を要求するか、追加でもう一人保証人を入れるように要求することがほとんどでした。

しかし、最近は、政策金融公庫の貸し倒れ率の増加から、保証協会に保証をしてもらうケースが増えてきました。
あなたも手っ取り早く融資してもらいたい一心で、この条件をのみたくなるかもしれませんが、絶対にこの話に乗ってはいけません。

なぜなら、ここで保証協会を利用してしまったら、その後しばらくの間、銀行の保証協会付き融資が使えなくなってしまうからです。
私のクライアントで、開業時に政策金融公庫から500万円の借り入れをした会社があります。

2期目の決算直前に、外注費の支払いのため、400万円の資金調達が必要になりました。
保証人になってくれる人がいなかったので、保証協会付きの融資を銀行に申請しました。
決算書の内容には問題なかったので、400万円程度であれば大丈夫だと思っていたのですが、結果は否決でした。

後で聞いた話では、政策金融公庫から500万円を借りたときに、担当者から保証協会の利用を勧められ、言われるままにサインをしたとのこと。
その結果、銀行からは「もう少し様子を見させてほしい」と断られてしまったのです。

急遽、決算書を作成し、メガバンクのビジネスローンで事無きを得ましたが、本来ならあの時点で会社が倒産していたかもしれません。

もし、政策金融公庫の担当者から保証協会の利用を勧められたら、用意した保証人で借りられる額だけ借りるようにしてください。

不足の部分については、別途「保証協会付融資」を銀行にお願いをすればよいだけですから。
その方が保証協会にも信用が付きますし、いざ資金調達が必要になったときにもスムーズに増額できます。

このことは大切なことですので、覚えておいてください。

● 一度融資を断られると、半年間は借り入れできない

原則として、政策金融公庫で融資を断られると、6ヶ月間は再申請してもダメです。
まず、融資はしてもらえません。

ですから、政策金融公庫に申し込むときには、事業計画書のポイントをはずさないよう細心の注意を払い、一回で確実に調達すべきです。

特に起業家の場合は、1期目の決算書が出来上がってからでは、経営分析をかけられますので、開業融資は、最後の融資チャンスとなる恐れも多分にあります。
くれぐれも注意して下さい。
では、不幸にも政策金融公庫で断られてしまったらどうすれば良いのか?

保証協会に申し込むというのが一般的な方法ですが、場合によっては政策金融公庫に再度申し込むという手もあります。

この6ヶ月間というのは、あくまで原則論であって、絶対条件ではありません。
特に起業家の方は、一度断られると「やっぱりそういうものなのか」とすぐに諦めてしまいがちです。

しかし、実務レベルでは、何度も政策金融公庫に足を運んで、担当者が呆れ返るほど交渉を続ければ、融資をしてもらえるケースもあります。
もちろん、事業計画書において決定的な部分に問題があればダメですが、そうでないなら意欲しだいで何とかなるものです。

極端な例ですが、私のクライントで一度断られていたにもかかわらず、一日おきに事業計画書を書き直し、政策金融公庫の窓口に足を運び続けた人がいます。
最初のころは、「また来たのか」と言われていたみたいですが、最後には300万円の借り入れに成功しました。

新しく起業する場合は、事業計画書は、あくまで見込みにしか過ぎません。

要は、申請者次第です。
何度も政策金融公庫に足を運び、担当者を説得できればいいのです。

● 返済は絶対に遅れるな!

政策金融公庫の返済は、絶対に遅れてはいけません。
銀行に比べ、国の機関だから多めに見てくれるだろうと軽く考えている人もいるかもしれませんが、政策金融公庫だけは遅れないようにしてください。

なぜなら、政策金融公庫の返済が遅れると、それから2~3年は、間違いなく融資してもらえなくなるからです。

起業家にとって、政策金融公庫が、唯一の借入先になることもめずらしくありません。
それほど、政策金融公庫は資金の調達がしやすいところなのです。
その資金調達先がなくなれば、会社の倒産もありえます。

ですから、その最も融資のハードルの低い政策金融公庫という資金到達先を失うことは、会社の存続において致命傷になりかねません。
十分注意してください。

しかし反面、返済さえ順調にしていれば、政策金融公庫ほど再借り入れしやすいところもありません。
ほぼ確実に融資を実行してくれます。

返済の目安としては、融資金額の半分です。
半分以上、順調に返済していれば、内容の悪い決算書でない限り、まず間違いなく貸してくれます。

しかも、二回目以降の融資には、初回時のように面倒な提出書類は必要ありません。
決算書と簡単な書類だけで審査をしてくれます。

ですから、順調に返済し続けることにより、いつでも政策金融公庫から再度融資が受けられるよう、あなたの会社を優良先だと印象付けておいて下さい。
必ず、いつかそのことが、あなたの会社の危機を助けてくれることになりますから。

なお、政策金融公庫の返済については、一ヶ月以上遅延するとその時点でアウトです。

保証協会や銀行は3ヶ月の猶予があることに比べ、非常に厳しい条件となっています。
しかし、それだけに見返りも大きいといえますので、政策金融公庫の延滞だけはしないよう注意してください。

● 政策金融公庫で断られてもケンカはしない

起業家の中には、ごくまれに、融資を断られたからといって、担当者とやりあって帰ってくる人がいます。
これも絶対にやってはいけません。

担当者次第では、あなたの態度を、内部のチェックリストに残す場合があります。
そうなると、あなたは二度と政策金融公庫で借りられなくなります。

もし、政策金融公庫を敵に回してしまえば、唯一の味方を失うことになります。
起業家が最も有利な条件で資金調達できる道を、自らの手で閉ざしてしまうことになるのです。

ですから、政策金融公庫に断られたとしても、冷静に今回の否決理由について担当者から聞きだし、次回の融資につなげる努力をすべきだと思います。

政策金融公庫の融資実行までの流れとそのポイント

① 申込

政策金融公庫で融資を受けたい場合、まず最寄の政策金融公庫の支店窓口に相談に行くことをお勧めします。
親身になって話を聞いてくれますので、気軽に相談してみて下さい。

融資の手順やあなたに合った融資制度などを説明してくれますので、参考になると思います。
このときに、「借入申込書」や「開業計画書」などの用紙をもらうことになります。

「申込」は政策金融公庫のホームページからでも可能です。
用紙もホームページ上から入手できますので、忙しい方は、そちらを利用されても良いと思います。
ただし、融資の更新手続きのすべてがホームページ上で出来るわけではありませんので、くれぐれも注意してください。

ホームページで可能なのは、あくまでも「申込」のみです。
政策金融公庫が申込を受け付けると、あなたに、「面接」の日時についての連絡が入ります。

申込から約一週間後が面接日となります。

あなたは、面接日までに、「借入申込書」や「開業計画書」といった必要書類を提出することになります。
(これは郵送でもOKです)

政策金融公庫の融資実行のポイントは、「開業計画書」と「面接」の2つです。
特にウエイトが高いのは、「開業計画書」です。

「開業計画書」8に対し、「面接」が2という感じでしょうか。

「開業計画書」の書き方については、最重要項目ですので、別途詳しく説明します。

なお、すでに起業されている人の場合は、「開業計画書」のかわりに「決算書」を提出することになります。
それに加え、決算後6ヶ月以上経過している場合は、「試算表」も提出します

融資実行の判断基準として、「決算書」「試算表」が最重要項目になることは、これまでと同様です。

② 面接

借り入れの申込をしてから約一週間後に、政策金融公庫の担当者と面接することになります。

面接時間は30分程度、短い場合は15分くらいで終了します。

ここでの質問内容は、ほぼ決まっています。

・ これまでの職歴と、それをどのように事業に生かしていくのか
(すでに起業している場合は、これまでの事業実績を聞かれます)

・ 借りた資金を何に使い、どのように活かすつもりなのか

・ どのような収支が見込まれ、どのように返済していくのか
これら3点は、必ず質問されるものと考えておいて下さい。
あなたの作成した事業計画書を見ながら、担当者は、必要な事項について漏れなく質問してきます。

ここで注意しておくことが一つあります。

それは、「担当者は、あなたの書いた夢のような事業計画など、最初から全く信用していない」ということです。

彼らにとって最も重要なことは、
「あなたが、長期にわたって、貸したお金をキチンと返済してくれるかどうか」だけなのです。

ですから、担当者に向かって夢を語っても、時間のムダです。
それよりも、誰もが納得できる資金使途や返済計画を説明することのほうが何倍も大切です。

起業家によくあるケースですが、自社の商品やサービスの自慢話を永遠と話し続け、あげくのはてに担当者から「あなたの商品の強い部分はよくわかりましたが、この点はどう考えているのですか?」と弱点を指摘され、応えに窮してしまうことがあります。

面接というのは、意地の悪い担当者によってアラ探しをされるものだと思っておいたほうが良いと思います。

逆に言えば、あなたの商品・サービスの弱い部分や、収支計画・返済計画の痛いところを突くことにより、あなたの人間性を判断しているということです。
ここで悪い印象を残すようだと、いくら開業計画書の出来が良くても、まず融資が実行されることはありません。

「就職の際の面接とは、その目的が根本的に違う」ということを知っておいて下さい。

基本的に面接は、あなたの書いた事業計画書を元に行われますが、たまに次のようなことを聞かれることがあります。

「あなたの事業は、今後どのように展開していくつもりですか?」

これは要注意の質問です。
この質問で担当者が知りたいのは、「あなたの事業は長期的に発展していくのか」「そのために必要な感覚を持っているのか」ということです。
ここでシドロモドロになったり、「時代の波に乗るようにします」などと道徳論的な返答をしていたら、担当者に不安がられます。

より具体的に、今後の商品展開や環境変化への対応策を、すぐに応えられることが大切です。

例えば、「起業当初の主力商品は○○ですが、2年おきに新商品を投入するつもりです・・」
「このサービスには、他社のように○○という機能はあえて付帯しませんでした。
なぜなら、今後の市場を考えた場合、機能変更の足かせになると思うからです・・」 といった具合に、長期的視野での経営を考えているということをアピールして下さい。

最後になりますが、もちろん、提出書類のコピーは手元に持っていてください。

また、開業計画書だけでは説明し切れなかった部分については、別途資料を用意して、それを担当者に渡して説明してください。
こうした行為により、担当者にもあなたの熱意が伝わり、しっかりした経営者であるという印象を持つことになります。

③ 融資決定

面接が終わると政策金融公庫は、あなたの会社に融資をすべきかどうかを審査します。

場合によっては、あなたの会社や店舗・工場を、訪問審査することもあります。

開業したばかりでなく、すでに決算書が出来上がっている場合は、ほぼ間違いなく、担当者が審査のため会社にやってきます。
そこで担当者は、決算書の内容と実際の帳簿・預金口座の動きを照らし合わせ、不信な内容がないかをチェックします。

よくあるケースでは、このチェックにより、高利の借り入れやローンの遅延、税金の未納などがバレてしまい、融資を断られることがあります。
また、仕事をしていない様な雰囲気の事務所であったり、同じ事務所内に別の会社が入っていたりすると、担当者の不信感がつのります。
くれぐれも注意してください。

こうした現地調査も無事終了したとして、融資の決定が下りるまで、約1~2週間かかります。

この最終審査において、知っておかなければならないことが一つあります。

それは、「あなたを面接した担当者の一存で、融資がOKになることはない」ということです。

面接で担当者に好印象を与えたとしても、それが最終決裁権を持つ人まで伝わることは絶対にありません。
必ず途中で止まってしまいます。
面接担当者が納得したとしても、その上役が納得できないと融資はしてもらえません。

通常、融資の案件はたくさんの人のハンコを必要とします。
銀行であれば、担当者から融資担当代理、支店長と渡ります。
金額が大きければ、支店長決裁は無理なので、本部の決裁となります。
本部内でも、審査部長、担当役員、ケースによっては取締役会で審議されることもあります。

これは、政策金融公庫であっても同じです。

担当者は、あなたとの面接の後、支店内での稟議にかけます。
そして、ここで、融資することに合理性があると認められる案件だけが決裁をもらえるのです。

では、どうすれば融資を実行してもらえるのか?

その実行の鍵を握るのが、「開業計画書」です。

あなたの人間性、事業展開、返済計画などを一枚の紙にすべて表現するということです。
紙に書けば、その内容は間違いなく決裁権を持つ人物まで伝わっていきます。

もちろん、ただ埋めるだけでは意味がありません。
書き方にもコツがあります。

それについては、次のセクションで細かく解説します。

いずれにせよ、あなたの事業計画や熱意は、書面にしない限り、最後まで伝わることはないということです。
いくら熱心に話をしても、担当者はあなたの話など聞いていないかもしれませんし、仮に聞いていたとしても、あなたの想いが決裁者まで正確に伝わることはほとんどありません。

だからこその「開業計画書」なのです。

④ 実行

融資の決裁が下りると、融資の決定書とともに契約書が郵送されてきます。
(決定書には、実際に融資される金額が記載されています)
その契約書の必要事項を記入し、あとは捺印するだけです。

契約書を提出すれば、早くて2~3営業日で、お金が希望の銀行口座に振り込まれます。

不動産担保の場合は、抵当権設定のための時間がかかりますし、保証人が必要になるケースでは、そのための書類を用意しなければなりませんので、1週間程度は見て下さい。

すでに政策金融公庫で融資を受けた実績のある場合は、早ければ面接日の翌日に決裁が下りることもあります。
初めての融資の場合ですと、面接から実行までは1ヶ月かかると考えておいて下さい。

ですから、前に述べたように、1度政策金融公庫で借り入れ実績を作っておくことが、後々の資金調達を有利に運ばせることになります。
将来、資金が入用なことがわかっている場合は、できるだけ計画的に準備をしておくことが大切です。

常に、早めの申込を心がけてください。

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