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起業家は何を勉強すればよいのか?~その4~

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「数字に強くなる」ために、経営者がまず学習すべきことは、数字を「読む」能力をつけることです。
経営における基本中の基本である「売上・コスト・利益」の関係は、数字を「読む」ことで理解できます。
また、経営者の重要な仕事の一つである「資金繰り」も、数字を「読む」ことによる、お金の流れを知る作業から始まります。

前回お話した、経営者に必要とされる3つの学習である、数字を「作る」「読む」「使う」の経営におけるウエイトは、1:4:5という感じです。

数字に強くなるために簿記を一生懸命勉強するというのは、会社の一割しか占めない部分に全力投球するということです。
学生時代の受験英語のテストを思い出して下さい。
必ず最初は、単語の発音やアクセントの問題から始まったはずです。
大学受験に必要とされる英単語は、5,000~8,000語といわれます。
その全ての発音とアクセントを覚えたとしても、100点満点中せいぜい10点程度しかとれません。
しかも、それを覚えたところで、肝心の「読み」「書き」では全く歯が立ちません。

成功を目指す起業家が簿記を勉強するというのは、8,000語の英単語の発音とアクセントを全て覚えようとする愚行と同じことです。
ですから、経営者は数字を「作る」ことではなく、「読む」ことから勉強を始めたほうが良いのです。

しかし、ここであなたには、大きな壁が立ち塞がります。
「読む」勉強について、これといった書物が少ないのです。

確かに、「決算書の読み方」といった類の本は無数にあります。
しかし、そのほとんどは、「読み方」ではなく「作り方」に関連した内容のものが大半です。
そうした本を真面目に学習した人と話してみても、専門用語は使えますが、肝心の全体像はまったく理解できていません。

「決算書は資産・負債・資本に分かれており、その中の流動資産を流動負債で割ったものが流動比率と言われるものです。この比率は200%以上が望ましいとされ、全産業平均は150%です。」

確かにカッコイイですよね。でも、だからどうしたと言うんですか。
この話で、あなたは会社の全体像が思い浮かびますか?
ましてや、「流動比率」によって会社の安定性を分析するという手法は、一般の中小企業には通用しないケースがほとんどです。
こうした分析数値は、中堅から大企業向けのものであって、零細企業には役に立たないのです。
(もちろん役に立つ数値もありますが、これは実際の経営に携わらない限り分からないでしょうし、経営の初心者であれば、その分別はつかないと思います)

まさに、これこそが、「木を見て森を見ず」です。
いくらこうした比率を知っていたところで、会社の儲けが出るプロセスなど知ることはできないのです。

税理士・会計士さんの書いた本に、簿記を切り捨てて、「読む」ことに特化したものは少ないのが現状です。
なぜなら、彼らにとって、「読み方を教える」という作業は大変だからです。
資格試験で問われることはほとんどありませんし、ましてや生身の経営を経験していないわけですから、むしろ当然のことといえます。

経営者にとって重要なのは、数字を見て「考える」のではなく、数字から何かを「感じる」ことです。
これには、ざっと大きく数字をつかめるような「読む」能力が必須となります。
これが出来て初めて、「数字に強い」といえるのです。


■ あとがき

今も朝からてんてこ舞いです。
その相談内容は、ほとんどが銀行の資金調達についてです。
政府は「景気が良くなった」なんて言ってますが、中小企業の現実は違いますよねぇ。

資金調達についてですが、皆さん知ってるようで知らないのが、昨年の10月から保証協会付きの融資制度が変わったことです。

これまでは、保証協会がOKすれば、ほとんどのケースでほぼ100%銀行は融資を実行してきました。
なぜなら、もし返済が不可能となった場合、保証協会が代わりに銀行の融資を肩代わりしてくれたからです。
つまり、銀行としては貸倒れのリスクがなかったわけです。

しかし、昨年の10月から、保証協会付き融資は、100%保証協会が保証するのではなく、銀行が20%リスク負担することになったのです。

これがどういうことを意味するのか分かりますよね?

そうです。リスクがある以上、銀行は、プロパー融資と同程度の厳しい審査を行うということです。
つまり、融資が出にくくなるということです。

今後は、保証協会の審査は通っても、銀行の審査が通らなければ、融資は出ないことが予想されます。
この影響は、起業家にとって、死活問題ともいえる重要な変化だといえます。

銀行員であった私の目でみて、保証協会の審査と銀行の審査とでは、天地ほどの開きがあります。
圧倒的に、銀行の審査のほうがバーが高いのです。

その上、銀行の審査で一番重要視されるバランスシートについて、経営者のほとんどは知識が不足しています。
決算書の知識を学ぶことが、急務といえます。

これから益々、銀行融資は決算書中心で行われます。
これは間違いない大きな流れです。

ですので、起業家であるあなたは、出来るだけ早い機会に、決算書の勉強を始めることをオススメします。


寒くなりましたが、お互いカゼなどひかぬよう頑張りましょう!

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